中国に新たな異変…ここにきて中国の若者が「共産党クイズ」に大熱狂しているワケ…Google、YouTubeは存在すら知らない
若者のナショナリズム感情を刺激する中国政府
ボイス・オブ・アメリカ中国版の2022年2月2日の記事「東方美、中国風、なぜ中国は国潮ブームを巻き起こすのか?」によれば、中国文化部が2017年の「第13次5カ年計画」の第十編第三十四章第三節で「中華優秀伝統文化の伝承・発揚」と述べています。 つまり中国共産党が中国の伝統文化を国家課題として推していくことが方針になっています。 この記事のなかで、カリフォルニア大学リバーサイド校校長特聘講座のペリー・リンク教授はこう述べています。 「中国共産党の最高指導者の権力を強化するために『国潮ブーム』は政府が資金援助し、共産党支配の背後でナショナリズム感情を組織することを目的としていると思う」 中国のZ世代は中国政府がインターネットをグレートファイヤーウォールでブロックした後の世界しか知らないうえに、中国政府の愛国教育により、2000年以前に若者だった世代とはまったく異なる感覚を持っています。 Z世代やその下の世代の間では、反中国的な発言やネットでの書き込みは相互監視と通報の対象となりその前の世代のように天安門事を真剣に議論することはありません。彼らはむしろ政府を支援します。 ニューヨーク・タイムズの2019年11月1日の記事「教授、気をつけて、中国では学生スパイが見ているかもしれない」(Professors, Beware. In China, Student Spies Might Be Watching)では、大学の教員を政府に通報する学生のことが取り上げられています。 2022年4月14日の『フォーリン・ポリシー』の記事「密告世代」(Generation Snitch)では、このような密告制度は政府により推奨されており、スパイ活動の割当が存在する大学まであるとしています。天安門事件や中国共産党の政策に関して好ましくない発言をした学者や海外国籍の大学教員が密告され処分を受けるのです。 記事のなかで、中国人で著者のトレーシー・ウェン・リューさんは「自分より若い世代である中国のZ世代はその前の世代とはまったく異なっている」と指摘しています。 中国共産党によるインターネットの海外の情報の遮断により、もはや若い世代は外の情報を見ることにすら興味がなく、Google、YouTube、Facebookの存在すら知らない若者がいるのです。 共産党の愛国教育により小学校でさえ政府を絶賛する意見が標準で、共産党に関するクイズが大人気、さらにZ世代は中国を批判されることに大変な抵抗感があり愛国的だと指摘しています。 つまり豊かな時代に育ったZ世代は、経済が強い時代しか知らず、政府により人為的に作られたトレンドや情報の遮断、センサーシップ、密告制度により、政策的に愛国、ネトウヨ化しているのです。 …つづく<日本より酷い、フランス《同調圧力》の実態…じつは、フランスの暮らしは「想像以上に大変」だった!>では、日本人がほとんど知らないフランスの実態を明かしています。
谷本 真由美(著述家)