刑務官が“セクハラ行為” 「そんなつもりじゃなかった」減給処分に納得いかず提訴… 裁判所の判断は
その他のセクハラ行為
①体重計を測らせ、下腹部に聴診器を当てる 医務室にきた女性職員に対して、Xさんは何の理由も告げずに体重を測らせたのである。嫌がる女性職員の服の袖を引っ張って体重計に乗せ、測定後に「ちょっとヤセたのではないか」と発言した。 Xさんの言い分は「女性職員の腹部の膨張が気になっていた」というもの。実際にその後、Xさんが女性職員の同意を得て服の上から下腹部に聴診器を当て「病院に行ったほうがいい」とアドバイスしたところ、腹部に疾患があることが明らかになった。たしかに、女性職員の健康状態を心配する気持ちはあったのであろう。 ②抱え上げてベッドに横たえさせる Xさんは、医務室に来た女性職員を抱え上げてベッドに横たえさせた。その後、Xさんは何も言わず、女性職員も黙ったままベッドから起き上がり医務室を出て行った。 この点についても、Xさんは上司から事情を聴取された際、「私は医療の知識を持っているので女性職員の健康状態を確認したいという強い気持ちがあった」旨を述べている。 ■ 裁判所の判断 裁判所は「抱え上げる」「下腹部に聴診器を当てる」行為については、以下のように「アウト」とした。 「異性の身体のプライベートな部分に接触する行為であるが、合理的な必要性は何ら認めることができない。健康状態の確認を口実とした不必要な異性への身体の接触であり、性的な関心に基づくものである」 しかし、「体重を測らせた」行為については、次の理由によりセクハラ認定されなかった。 「この行為の時点では、身体的接触の程度は服の袖を引っ張るという限度に止まり、取得した情報も女性職員の体重だけであり、それを健康状態の把握以外に用いた形跡もないことから、女性職員の体調を心配する気持ちに基づくものであった可能性も否定できず、性的関心や欲求に基づくものであったとするには疑問が残る」 ただし「とはいえ、体重は他人に知られたくない個人情報なのでセクハラに準じる行為」と判断されている。