【シリーズ年末回顧】元日に発生した『能登半島地震』【高知】
RKC高知放送
シリーズ「年末回顧」。初回の今回は、元日に発生した能登半島地震です。3月に被災地に向かい、現状や私たちが学ぶべきことを取材しました。 2024年元日、能登半島地震が発生。最大震度7の地震が能登半島を襲いました。 沿岸部には津波が押し寄せ多くの住宅が倒壊するなど、災害関連死229人を含む457人の死者を出す大災害となりました。 能登半島地震から2か月あまりが経った今年3月上旬、河内真キャスターと高知大学防災推進センターの岡村眞客員教授が、被害の大きかった石川県珠洲市や輪島市など4つの市と町を訪れました。 輪島市や珠洲市など、能登半島の北部と金沢市を結ぶ大動脈「のと里山海道」。金沢市を出発して50キロを過ぎたあたりから状況は一変しました。道路がいたるところで崩落していました。 岡村教授 「県土が広いですからね。(能登半島へ)金沢から100キロぐらい我々は移動中なんですけど、やっぱり室戸でも(高知市から)60キロ、70キロ。土佐清水は100キロという距離を見ておかないといけないので、まったく能登半島と同じことが起きる可能性が高いですね」 ※9月に全区間対面通行可能に※ 震度7を観測した輪島市。家屋が密集する中心市街地は甚大な被害が出ました。今回の地震で、輪島市では観光地の「朝市通り」で大規模な火災が発生。火は約5万平方メートルに渡って燃え広がり、240棟の建物を焼く被害を出しました。地震による大規模な火災は、次の南海トラフ地震が起きた際、高知県でも都市部などで起こるおそれがあります。 朝市通りは6月から建物の公費解体が始まり、年度内には完了する見通しです。 珠洲市では元日の地震で震度6強を観測しました。取材した当時は揺れと津波の爪痕が残ったままでした。珠洲市は金沢市から約130キロの半島に位置していて、人口約1万1000人。高知県の室戸市や土佐清水市とほぼ同じ人口規模で、発災直後、相次ぐ道路の損壊で多くの集落が孤立しました。 珠洲市は今回の地震で、5500棟あまりの住宅が全壊や半壊などの被害に遭い、災害関連死を含む137人が亡くなりました。沿岸部の中心市街地は、多くの建物が倒壊したままの状態でした。 珠洲市で起きたのは建物の倒壊だけではありません。沿岸部は、今回の地震で4メートルを超える津波が押し寄せました。市街地のすぐ近くにある漁港・飯田港は複数の漁船が津波で転覆したため、船の通り道を確保するため、国土交通省が2月末から沈んだ船などの引き揚げを行っています。 建物の倒壊と津波の被害で、珠洲市では復旧が思うように進まない状況が続きました。次の南海トラフ地震が発生した際、同じような事態が高知県の沿岸部でも生じるおそれがあると岡村教授は警鐘を鳴らします。 ■岡村眞 客員教授 「やっぱり家が倒壊すれば、津波からその段階で逃げられなくなる。閉じ込められてしまう。そこに津波が入ってくるということなので、高知にとっては、大変重い課題がここにあるというふうに思う。一番大切なことは、地震で倒壊しないこと。地震で家の中に閉じ込められないこと。1階で閉じ込められないこと。これを優先的にこれから高知ではやっていく必要があるというふうに思う」 能登半島地震の発生からまもなく1年、この教訓をどのように活かしていくか、南海トラフ地震が迫る高知県に暮らす私たち一人一人に問われています。