「蛍の光」じゃ伝わらない 100均ダイソーが外国人客に「閉店」伝える新曲 USENとコラボ
有線放送大手USEN(東京)と大創産業(広島県東広島市)は、さりげなく来店者に閉店時刻を伝えて快く帰ってもらうための閉店音楽を制作した。早稲田大マーケティング・コミュニケーション研究所との共同研究。大創産業が展開する100円ショップ「ダイソー」など約2900店で今月中旬から流している。USENのチャンネルを通して他店舗でも利用できる。 【動画】さりげなく閉店伝えるダイソーの店内 曲名は「Good Day~閉店の音楽~」。約5分間の楽曲は「郷愁感」をキーワードに、オーボエが奏でるやわらかなメロディーをバイオリンやビオラのオーケストラがまとめている。 共同研究では、一般150人と「ダイソー」スタッフ657人に数曲の中から閉店音楽としてふさわしい曲を選んでもらった。選ばれた曲が「郷愁」「自然」「落ちつく」などの印象を与えていると分析。こうした特徴を取り入れた新たな曲を作曲家が作り、USENや同研究所のメンバーの意見を反映した。 完成後、閉店前の「ダイソー」で来店者に新しい曲から感じた印象を7段階で評価してもらった。「Good~」を流した店舗では、通常のBGMを流した店舗に比べて「好ましいBGM」や「閉店にふさわしい」の項目が高かったという。 大創産業によると、以前から閉店時に流していた「蛍の光(別れのワルツ)」は、インバウンド(訪日客)に分かりにくいなどの声があったという。グローバル広報課の後藤晃一課長は「言葉を介さずに心地よく『閉店なんだな』と感じてもらえる楽曲になった」と話す。 全国約82万店舗に音楽を配信するUSEN。これまでも顧客の要望に応える楽曲作りも手がけてきた。さりげなく閉店を知らせて、満足感を損なわずに再び来店してもらえる楽曲を目指し、2019年から同研究所と制作を始めた。伊藤直嗣執行役員は「ただ曲を流している会社ではないと知っていただくきっかけになった。閉店音楽の選択肢の一つとして標準化していきたい」としている。
中国新聞社