水原氏との騒動で大谷翔平の“証言”が評価されたワケ ベテラン記者をも唸らせた謙虚さ「本当に尊敬を求めている」
違法賭博との関与が疑われもした一大スキャンダルは、球界を激震させた。現地時間3月20日にドジャースを解雇された大谷翔平の専属通訳だった水原一平氏が、大谷の口座から違法ブックメーカーへ資金流出をしていたというニュースだ。 【動画】大谷翔平への”NG質問”に水原一平通訳が見事な対応!「何があっても礼儀正しい」と米メディアが称賛したインタビューの様子 業界関係者も寝耳に水の騒動だった。そうしたなかで、大谷自身は現地時間3月25日に開かれた記者会見で「僕自身、何かに賭けたり、スポーツイベントに賭けたり、頼んだこともないですし、送金を依頼したこともありません」と違法なギャンブルへの関与を否定。複雑を極める問題に対して真摯に向き合い、関係当局の調査に協力する姿勢を見せた。 それでもスキャンダルが明るみとなるキッカケとなった米スポーツ専門局『ESPN』の報道で、水原氏が「翔平は事実に喜んではいなかったが、私がこれからギャンブルをしないよう助けると言った」と証言(後に撤回)したことで、一部のファンやメディアから大谷に対して小さくない疑念が向けられた。 ただ、それ以上に「大谷は関与していないのではないか」という意見が大きく膨れ上がったのは、いかなる困難も乗り越え、ひたむきに野球に取り組んできた彼の努力が、“野球の本場”でも広く認知されている証左と言えよう。 実際、大谷に単独取材を行った記者は、会話を交わすなかで目の当たりにした飽くなき向上心がいかに図抜けたものなのかを指摘する。 米誌『Sports Illustrated』のトム・ベルドゥッチ記者は、MLB公式ネットワーク局『MLB Network』の番組内で「彼は私が会ってきた選手の中で最も意図的な選手だ。全ての行動に意味があるんだ。ショウヘイのそれはカル・リプケンを超えている」と指摘。MLB史上最多2632試合に出場した鉄人を引き合いに出し、野球に対する図抜けた向き合い方を強調した。 「ショウヘイは自分のやることのすべてに意味があることに繋がり、非常に具体的にそれを実行してきている。私は彼に『野球の何が一番好きなのか』を聞いた。そしたら彼は『それは素晴らしい質問ですが、野球に限ったことでないです。設定した目標を達成するプロセスが好きなんです』と説明してくれた。彼は野球人生において非常に目的意識が高いんだ」 さらに「彼の謙虚さには本当に驚かされた。私たちは今日のアメリカのアスリートたちに慣れきっているが、彼らは『お金が一番』としがちだが、ショウヘイは本当に尊敬を求めている。すべてが少しだけ違うんだ」と強調したベルドゥッチ記者。豊富な取材歴を誇る彼をして「驚かされた」と言わしめるあたりにも信ぴょう性があり、水原氏に対する大谷の証言が世間で評価された背景が垣間見える。 今後も司法当局などの調査は展開されていく。そうしたなかで、大谷の潔白が完全に証明される日はいつ訪れるだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]