【大分】「伝統的な酒造り」県内からも歓喜の声
大分朝日放送
5日朝、うれしいニュースが届きました。 日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録され、大分県内の酒造会社からは喜びと今後への期待の声が上がりました。 日本時間の5日朝、南米のパラグアイで開催されたユネスコ政府間委員会で「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されました。 日本ではこれまでに和食や能楽などが登録されていて今回が23件目です。 日本酒・焼酎・泡盛などこうじ菌を用いた「伝統的酒造り」。 日本各地の気候風土に合わせて杜氏や蔵人が築き上げてきた技術です。 造られた酒は私たちの生活に幅広く浸透し神事や祝いの場など日本文化にも欠かせない存在です。 三和酒類 西和紀社長 「非常に誇らしく思っております。私たちが造っている日本酒・本格焼酎この豊かさを感じてもらえたら」 吉報に喜ぶのは県酒造組合の副会長を務めている宇佐市の酒造会社三和酒類の西和紀社長です。 5日朝は地元・安心院高校の1年生6人が授業の一環で仕込み体験に訪れていてうれしいニュースと共に酒造りの奥深さを学びました。 三和酒類 西和紀社長 「この伝統的酒造りの登録をきっかけに国内のみならず海外の方たちにも私たちの酒造りの魅力を知っていただきたい」 杵築市の中野酒造は、明治7年の創業当時から150年間にわたって「ちえびじん」という名の日本酒を造り続けています。 中野酒造 前原正晴さん 「いかにお酒をきれいに造れるかはこだわっている」 大分県内産の米を多く使い、仕込みに使う水も杵築に湧き出す天然の地下水にこだわっています。 中野酒造 前原正晴さん 「だいぶ機械化を進めているが昔ながらの作り方は残していこうと」 職人の感覚にこだわり、麹を作る時には、蔵人が夜中も欠かさず2時間おきに温度を確認し、管理します。 3年ほど前から海外からの発注も増える中、無形文化遺産登録の吉報が届きました。 中野酒造 前原正晴さん 「世界に向けてアピールできるのはすごく貴重で喜ばしい。おいしそうに飲んでもらうのが一番」 世界で評価された日本の伝統。 大分でも受け継がれてきた酒造りの歴史を紹介します。 今回の決定、大分県内の酒造会社からも喜びの声が上がっています。 大分県って日本酒と焼酎、どちらのイメージが強いと思いますか? やっぱり麦焼酎ですよね。 そう思っている人が多いと思いますが、実は昔はここ大分でも日本酒が主流だったのをご存じでしょうか。 大分県酒造組合によりますと、大分のお酒文化は戦国時代の1468年に始まったそうです。 このころは日本酒が盛んに生産されていて長年続いていました。 ただ戦後の1950年代に健康食ブームがやってきました。 この時に麦100%の大分麦焼酎が誕生し、人気が広がったんです。 もっと歴史が長いのかと思いました。 いま大分県内には日本酒と焼酎の蔵元が36軒あります。 この日本酒と焼酎、材料が違うのはご存じだと思うんですが作り方の違いって知っていますか? どちらもまずは、お米や麦などを麹と酵母の力でアルコールにします。 米を使った日本酒はこの時点で完成ですが焼酎はこれから熱してアルコールを蒸発させます。 その蒸発した気体を冷やして再び液体に戻したものが焼酎なんです。 なので、焼酎は日本酒よりもアルコール度数が高いんです。 昔から伝わり続ける日本の伝統的な酒造り文化、世界にもっと広がるきっかけになるのでしょうか。 今回ユネスコの無形文化遺産に「伝統的酒造り」として登録されることが決まりました。 この無形文化遺産、これまでには和食や和紙・歌舞伎などいろんな日本文化が登録されてきました。 この仲間入りをすることになり、酒蔵の職人からは「若い世代や世界の人においしく飲んでもらうのはもちろん、作り方にも興味を持ってもらえれば」と期待の声が上がっています。 アルコール飲料の消費量は全国的に減少傾向にありますが、大分、そして日本で作られた焼酎や日本酒がこれをきっかけに多くの人に広がることを期待しています。