久光製薬V奪還へ好スタート 腰痛で手術の中田監督が指揮
中田監督「勝ってくれることが何よりの治療薬」
その中田監督もまた、特別な思いでこの日の開幕戦に臨んでいた。中田監督は、5月の世界クラブ選手権後のサマーリーグ(7月)に帯同せず、9月のアジアクラブ選手権も加藤陽一コーチが指揮を執った。5日のV・プレミアリーグ開幕セレモニーはビデオ出演、16日の前日会見も欠席としばらく姿を見せなかったため、ファンや関係者の間で心配の声があがっていた。 試合後の記者会見では冒頭で、開幕セレモニーと前日会見の欠席について「私の都合で欠席させていただき、みなさんにご迷惑をおかけしました。会社のほうで気を遣ってくださって大事をとらせていただきました。でも元気です」と語り、実は腰痛で、今月初めにヘルニアの手術を受けたことを明かした。現役時代からの持病が、昨シーズンぎっくり腰を患ったことで悪化したという。 「選手にもへんに気を遣わせてしまって、かわいそうなことをしました」と申し訳なさそう話した。それでも監督がそういう状況になり、不在の時間が生まれたことで「みんなの自立心がより強くなった」と石井は言う。「久美さん(中田監督)がいないと勝てないままではダメ、いなくても勝たないといけない。そうでないと久美さんもやっぱり自分がいないといけないと思ってしまうから。自分たちで考えてチームを作っていこうとやっていました」。 長岡からも「勝とうが負けようが、チームと向き合い自分と向き合い、チームの骨組みを作っていきたい」という言葉が聞こえてきた。 優勝決定戦で敗れ、連覇とチャンピオンの座を逃し、一時はモチベーションを失いかけたチームが、指揮官の苦難もあり、勝ちたいの気持ちでより一体となって再びの頂点目指し挑む今シーズン。「いいときも悪いときもチーム一丸となって、やるべきバレーをやって、一戦一戦戦っていきたい」と新鍋。 中田監督の腰が完治するまでにはもう少しかかるという。 「なるべく早くちゃんとした体で戦いたい。今は(試合が)早く終わってくれと(笑)その思いだけ」と記者を笑わせ、「勝ってくれることが何よりの治療薬です」と、大事な初戦の采配を勝利で終えた指揮官は笑顔でそう締めくくった。