芸歴25年目、スターであり続ける柚希礼音の志「人生は修行」【インタビュー】
1999年に宝塚歌劇団の85期生として初舞台を踏み、その後、星組トップスターとして活躍した柚希礼音。そんな柚希にとって、2015年の退団後、代名詞的なソロコンサートになっているのが『REON JACK』シリーズだ。 【写真】インタビュー中の柚希礼音 8月29~31日まで「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で開催される『REON JACK5』には、元宝塚歌劇団星組トップ娘役の夢咲ねね、俳優の井上芳雄、大貫勇輔らも登場。今回は柚希に同公演の見どころはもちろんのこと、芸能生活25年についても改めて振りかえってもらった。 取材・文/田辺ユウキ 写真/木村正史
◆ 宝塚時代から「自分を超える」を目標に
──『REON JACK』シリーズは宝塚退団後の柚希さんの歴史そのものですが、2017年の『REON JACK2』後は「宝塚時代に自分がやりたかったことが全部できた」と燃え尽きた感覚になったとおっしゃっていましたね。 第1弾は手探りな部分が多かったのですが、『REON JACK2』の「パシフィコ横浜国立大ホール」(神奈川)での公演で、照明、演出などすべての面で眩いものができあがり、「自分はこういうステージに憧れていたんだ」と思えたんです。同時に「ここまでのことができたら、この先はどういうコンサートをやっていけば良いか分からない」となりました。 ──そうなったら『REON JACK』を一旦完結させて、別の企画をやる道も出てきますよね。 そうなんです、頭を抱えて「次はどうするべきか」とすごく悩んで・・・。ただ、踊りの面も含めて「もっとその先へ行こう」と自分のレベルアップを考えました。「私はそうやってここまで歩んできたじゃないか」と。宝塚時代からコンサートに限らず「自分を超える」を目標にやっていましたし、周りの存在がどうこうではなく、自分とどのように向き合うかを第一に考えてきたので。『REON JACK』はまさにそういう気持ちで取り組んでいるコンサートなんです。 ──2016年の作詞曲「希望の空」でも、周りと自分を比べることをやめようと書いていらっしゃいましたね。 今でもなにかに迷ったときは「希望の空」の歌詞を見ると、背中を押してもらえる気持ちになります。なにごとも「ライバルがいた方が伸びる」とよく言われるじゃないですか。もちろん、意識する存在はいた方が良いかもしれません。だけど私は性格的に自分自身との戦いの方が向いている気がしていました。その理由は幼少期からバレエをやっていて、誰かと比べられてきたことにあるかもしれません。だから余計「私は私だ」という気持ちが強くなりました。なにより「あの人みたいになりたい」と思ってもできないじゃないですか。 ──たとえば宝塚歌劇団であれば、トップスターなど絶対的な存在が常にいますよね。 私たちの時代だと、そのお1人が真矢ミキさんです。稽古のときも、真矢さんにタオルや飲みものを渡しに行く人がたくさんいて、とにかくリスペクトがすごかった。私たちも「いつか真矢さんのような大きな存在になりなさい」と言われていました。だから真矢さんをイメージしてちょっとクールに振る舞ってみたら、逆に「え、不機嫌なの?」「今日、なんか暗くない」とか言われたことがあって! ──ハハハ(笑)。 私としては、クールに振る舞ったら真矢さんみたいに「キャー」ってなるかなと思っていたら、なにも起こらず(笑)。当たり前のことですけど、そのとき改めて「真矢さんのような振る舞いは、真矢さんにしかできない」と気づきました。私には私のキャラがあるので、「誰かのようにしようと思わないでおこう」って。