4回転は何本が理想?羽生が金第1号となるために選ぶべきプログラムとは?
運命のフィギュアスケートの男子ショートプログラム(SP)がいよいよ明日16日に迫ってきた。14日、SPの滑走順を決める抽選が行われ、66年ぶりの五輪連覇を狙う羽生結弦(23、ANA)は最終組の第1滑走となる25番、宇野昌磨(20、トヨタ自動車)は28番、田中刑事(23、倉敷芸術科学大大学院)は22番となった。またライバルのネイサン・チェン(18、米国)は羽生につぐ26番、最終滑走者は金博洋(20、中国)。 この滑走順は、羽生にとってどうなのか。 元全日本2位で現在福岡で後進を指導している中庭健介氏は理想的だと見ている。 「羽生選手は6分の公式練習を余裕を残して終えるタイプなので、何も問題はなく、ショートの場合は、そこまで疲れは出ません。むしろ体が温まったまま演技に入れますしプラスではないでしょうか。最後になると30分間以上も待つ時間あり、場合によってはストレス、プレッシャーもたまります」 問題は金メダルを獲得するためにどんなプログラム構成を採用するかだ。 足の故障を考えると今シーズンから挑もうと計画していたループ、ルッツ、サルコー、トゥループの4種目の4回転ジャンプをプログラムに組み入れることは難しくなる。 公式会見で羽生は「作戦上のこともあるので」と明らかにしなかった。 この日、サブリンクで行われた3度目の練習では、SPの「バラード第1番」の曲をかけて流れを確認した。実際に、ジャンプは跳ばなかったが、踏み切りの入りなどから明らかになったのは、冒頭は4回転サルコー、基礎点が1.1倍となる後半にトリプルアクセル、4回転トゥループ+3回転トゥループの連続ジャンプの構成。昨年9月のオータムクラシックで112.72の世界最高得点を更新したプログラムと同じ構成だった。4回転ループは外していた。 前出の中庭氏は、SPのプログラムは「これで十分。他の選手と何の差もなく勝負できる構成です」と、いう見方をしている。 「ネイサン・チェン選手がもしSPで4回転フリップ、ルッツを入れてきた場合、羽生選手がループを封印した構成で臨むとすれば、ジャンプの基礎技術点では、約5点ほどの差がつくことになります。宇野選手とも2点くらいの差でしょう。ただ、羽生選手は、GOE(出来栄え点)加算とファイブコンポーネンツ(演技構成点)の評価で、この技術点の差を十分にカバーできます。この構成でも羽生選手がSPを首位でターンする可能性は十分に考えられるのです」 実際のスコアで比較すると、チェンが全米選手権のSPで試みたジャンプは、4回転フリップ+3回転トゥループ、4回転トゥループ、トリプルアクセルの3本で合計37.28点、宇野の四大陸選手権のSPは、4回転フリップ、4回転トゥループ+2回転トゥループ、トリプルアクセルの3本で合計34.41点。対して、羽生のオータムクラシックのSPは、4回転サルコー、トリプルアクセル、4回転トゥループ+3回転トゥループの3本で合計35.91点だった。チェンとの差は、わずか1.37しかなく、演技構成点で十分に逆転可能となる。 だが、フリーのプログラムはショートのようにはいかない。