4回転は何本が理想?羽生が金第1号となるために選ぶべきプログラムとは?
もしチェンが4回転を5本或いは6本入れこむ挑戦的なプログラムを組んできた場合、すべて成功すれば、羽生が、SPでよほどのリードをキープしておかねば逆転される可能性がある。宇野も3種類4本の4回転を組み入れるプログラムを用意している。 中庭氏は、こういう見解を持つ。 「おそらく羽生選手はSPの順位、点差を見てフリーのプログラムを変えてくるのかもしれません。ただSPで5点差をつけて首位に立っておけばフリーで4回転を3本というプログラムでも勝負できると思うんです。2015年のGPファイナルを勝ったときのプログラムです。幸いにも今季は、このときの曲《SEIMEI》に戻しています。慣れたプログラムです。 チェンとは技術点で約10点の差をつけられるでしょうが、GOEとファイブコンポーネンツで、その点差を詰め、SPで5点の差があれば、上回ることができると思います。 実はトリプルアクセルが、カギになると見ています。もし2種類の4回転を4本入れる場合は、ルール上、トリプルアクセルを1本しか入れることができません。ただ3本の場合は、2本を入れることができます。トリプルアクセルのGOE(出来栄え点)は4回転と同じく満点で3点がもらえます。 羽生選手のトリプルアクセルは素晴らしい質ですので、そう考えると、2本のトリプルアクセルを完璧に決めるとGOEで6点を獲得できる可能性が高いのです。故障の影響が出るとすれば、フリー後半の演技です。4回転を4本入れるリスクを回避してトリプルアクセルをポイントにするという考え方もありだと思うのです」 羽生は、2015年のGPファイナルでは、4回転は冒頭の4回転サルコー、4回転トゥループ、後半の4回転トゥループ+3回転トゥループの3本だけだった。トリプルアクセルを2本、後半に、いずれも連続ジャンプに組み込み、「3.0」「2.43」というGOEを得て、219.48の世界最高得点をマークしている。 4回転時代に逆行するような形になるが、これだと怪我をした右足で踏み切り、右足で着地するジャンプを回避できるし、ループ、ルッツといった4回転を跳ぶことが難しい故障明けの羽生にとって怪我の功名的なプログラム構成になるのかもしれない。 この日、金メダルが期待された男子ハーフパイプの平野歩夢、女子スピードスケート1000メートルの小平奈緒、ノルディック複合ノーマルヒルの渡部暁斗が、揃って僅差で金メダルに届かず銀メダルに終わった。小平は24連勝中の大本命の500メートルを残しているが、競技日程は18日。渡部が雪辱を狙うノルディック複合のラージヒルも20日だ。羽生が出場するフィギュア男子シングルは16日にSP、17日にFSでメダルが決まる。悲願の日本の金メダル1号のチャンスは羽生に巡ってきた。やはり、この男、持っているのかもしれない。