キャリア初ダウンからの圧巻逆転TKO! 東京Dを沸かせたKOアーチスト・井上尚弥
■パンチのヒット率は脅威のダブルスコア!
ボクシングデータベースサイト『CompuBox』によると、今回井上は計239発中107発をヒットさせた(44.8%)。対してネリは計194発中54発のヒット(27.8%)。ジャブは井上が45/112発(40.2%)、ネリが20/70発(28.6%)、強打は井上が62/127発(48.8%)、ネリが34/124発(27.4%)だった。 この数字から見ても井上が圧倒的だったことがわかるだろう。
■ドームを沸かせた快勝劇に、試合後も少年のようにおどけた井上
結局、最初のピンチすら演出だったかのような圧勝劇を見せつけた井上は、試合後もゴキゲンだった。 ネリを倒した瞬間について「1ラウンドのダウン、サプライズどうだったでしょうか?」とおどけつつ、「(ピンチになって)自分自身、燃え上がるところがあるので、ハイテンションで試合をしました」と答えた。また、ネリとダウンを奪い合った展開における、コーナーの父・慎吾氏や弟・拓真とのやりとりについて聞かれると、「ダウンした瞬間のことなんて覚えてるわけないじゃないですか!」と笑いながら振り返った。 IBF指名挑戦者のサム・グッドマンがリングに上がると、井上自身が「9月頃対戦できるように交渉している」と報告。当のグッドマンも「絶対やりましょう」と返し、両者は握手をかわした。 悪童成敗という劇的KOショーを披露したモンスターは、2024年内に3試合を予告しており、さらなる興奮を我々に見せてくれるようだ。
■武居は全戦KO勝利逃すも損WBO王者に、拓真もWBA王座を貫禄防衛でバンタム王国・日本は新黄金時代へ
8戦8KO勝利で世界挑戦となった武居由樹は、WBO世界バンタム級王者ジェイソン・モロニーを猛打で翻弄。しかし徐々に実力を発揮するモロニーをKOできず、最終RではKO負け寸前に追い込まれた。それでもほどんどのラウンドを制したことで判定勝利で新王者に。 WBA世界バンタム級王者の井上拓真は、石田匠の長いリーチとジャブに手こずるも、自身の実力を試すような試合展開で優位に進め、3-0で判定勝ち。2度目の防衛とともに兄・尚弥へ勝利のバトンをつないだ。 リングサイドには、WBC王者の中谷潤人、同階級で世界戦を目指す那須川天心の姿もあった。2日前の5月4日には、大阪で西田凌佑がエマヌエル・ロドリゲスからIBF王座を奪い取った(西田は減量苦からスーパーバンタム級転向を示唆しているが)ことで、今や日本はバンタム王国として新たな黄金時代を迎えている。日本人同士の統一戦が年内にも勃発することは確実となった。 また、WBA世界フライ級タイトルマッチは、王者のユーリ阿久井政悟が終始横綱相撲といえる試合内容で圧倒。過去のKO負けのリベンジに燃えた桑原だが、一歩及ばず。阿久井が初防衛に成功した。
スポーティングニュース(日本編集部 神宮泰暁)