よろめくロシア軍、攻勢に陰り クルスクの車両の「墓場」は破局の前兆か
クルスクでの攻撃第2波も「壁」にぶつかる
トランプは過去にウクライナへの援助の縮小ないし打ち切りをちらつかせたことがあるほか、当選後、ロシアに有利な和平条件を受け入れるようウクライナ政府に圧力をかけている可能性もある。 また、トランプの取り巻きのなかにはウクライナを公然と貶める者もいる。トランプの選挙キャンペーンに2億5000万ドル(約380億円)以上を提供した富豪のイーロン・マスクは、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が11月16日、ウクライナは独立国だとあらためて強調したインタビューなどを引用し、「彼のユーモアのセンスはすごいね」と嘲笑した。 1月20日以降何が起こるにせよ、プーチンは政治情勢が動いていくなかでロシアの領土を完全に取り戻したいと考えている。クレムリンはそのため、トランプの当選が判明してからほどない11月7日、ロシア軍と援軍の北朝鮮部隊の総勢6万人にのぼるともみられる兵員や優れた重装備をクルスク州に集め、突出部を攻撃させ始めた。 この第1波の攻撃は、突出部の北西の外れにある小さな集落ゼリョーヌイ・シュリャフを抜けた辺りの道路やその周辺で、ウクライナ軍の地雷やドローン、戦車、大砲の壁にぶつかった。ゼリョーヌイ・シュリャフはロシア軍が先ごろ戦争犯罪を犯した現場に近い。この攻撃は11月末から12月頭にかけて鈍化したが、それはたんにロシア軍の連隊や旅団が兵員や車両を補充するためだった。Kriegsforscherは11月29日、「これは本番前のウォーミングアップにすぎません」と述べていた。 12月7日、第2波の攻撃が始まった。だが、これも第1波と同様に成功していない。Kriegsforscherは、すでにロシア軍の9両が撃破されたと報告している。 甚大な損害を被っているのは装備だけではない。ウクライナ側の発表によればロシア軍の人員の損害はこの数週間、1日1200~2000人にのぼっており、ロシア軍が毎月新たに集めている兵員およそ3万人を上回るペースになっている。数千~1万人強とされる北朝鮮からの派兵がなければ、ロシア側の兵員数は週に1000人以上減っているだろう。