ジャンルに特化することが吉? アイドルの個人SNS炎上で浮彫になる「生」で発信する難しさ
■ジャンルに特化することで炎上を阻止? 影響力をいかに理解しているかが問われる
では炎上はどうしたら防げるのか。衣輪氏はインフルエンサーたちに取材したなかで「炎上はある意味、止められないと誰に聞いても答える」とし、「SNSでの侮辱罪も厳罰化されましたが、弁護士によればそれだけでは抑止力としてはまだ足りないと嘆かれている」と話す。つまりSNSでの立ち回りは非常に難しい。 とはいえ、戦略的にうまくSNSとつき合っている事例もある。旧ジャニーズで初のインスタアカウントを開設した山下智久は、ファンから質問を受け付けるというコミュニケーションをしていない。質問箱なども設置しておらず、「脳内は明かさない」ことでうまくいくという一つの例を示している。逆にSNSを使いこなしているのが菊池風磨(timelesz)。質問箱の返信速度がえげつないと言われるインスタストーリーが話題であり、独り言としてのつぶやきも、自身の影響力を理解した上で立ち振る舞っているように見える。 そんななか、特に話題になっているのは千賀健永(Kis-My-Ft2)だろう。そのInstagramのストーリーはもはや“美容垢化”しているといわれ、美容というジャンルに特化して主義主張を述べている。ニキビや毛穴の治療について、エビデンスも備えた治療法の提示。「ダイエットのモチベになるような言葉ください」という声には「あんたまだ他人頼りのダイエットしてるの?」と厳しい言葉を放つなど、その知識から“エビデンスモンスター”との異名すら生まれた。 「もともと千賀くんが美意識が高いことは有名で、本人も自覚。本業のアイドル業とは似て非なるものですが、それを“個性”として魅せてきた経緯があります。その千賀くんはストーリーでアイドル論を語るわけでなく、むしろしっかり距離を置くスタンス。フォロワーも彼の美容発言を供物としてとらえてくれている状況であり、特化したジャンルを発信することで炎上を回避できていると言えなくもない。また千賀くんとしても美容についての自身の熱量や知識を語れるし、これまでにこだわってきたことの証明にもなる。根底にエビデンスがあるので、発信側の“脳内”が見えるわけでもない。ジャンル特化をしているうちはユーザーとWin Winです」(衣輪氏)