コンサル業界の厳しすぎる実態!「仕事ができない社員」につけられる不名誉な称号とは?
コンサルティング業界に「キラキラした」印象を持っている人がいるかもしれないが、実際はそんなことはない。コンサルの資質・能力は社内で厳格にジャッジされており、基準に満たない人物がプロジェクトから「干される」こともある。その上、「仕事のない社員」を指す業界用語まで存在する。一般的なイメージとは裏腹な厳しい内情を、独立系コンサルの現役社長が解説する。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎) 【画像】スライドがキレイなコンサルが“一流”だとは限らない ● プロジェクトから「干される」コンサルも!? 「高給取り」の裏にある厳しい現実 コンサルタントは「高給取りのエリート」というイメージが根強いかもしれないが、その内部では厳しい競争が繰り広げられている。 コンサルファームはプロジェクト単位でチームを組むのだが、スキル・経験・評価などが物足りないと判断されたコンサルは、どのチームにも入れてもらえない。いわば「戦力外」に近い状況になる。 コンサルの世界には、この「仕事のない社員」を指す業界用語も存在する。その不名誉な称号とは、いったい何なのか――。「優秀なコンサル・そうでないコンサル」の違いと合わせて、業界の内情を詳しく解説していこう。 まずは前提知識として、先ほど述べた「プロジェクト」とは何かについて解説する。 プロジェクトとは、顧客が抱える課題を解決に導くための支援活動である。具体的な課題としては、携帯キャリアによる「通信以外の新規事業がなかなか立ち上がらない」、大手不動産会社による「DX(デジタルトランスフォーメーション)がなかなか進まない」といったものがある。 これらを解決するために進めるのがプロジェクトだ。筆者の専門分野である「戦略系コンサル」であれば、一つのプロジェクトに要する時間は3カ月ほどである。
● 「プロジェクト」ってそもそも何!? コンサル流「仕事の進め方」 コンサルはプロジェクトの開始に当たって、顧客企業がどんな組織体制のもとで、ヒト・モノ・カネをどのように配分し、どんな戦略を立てればよいのかといった方向性を考える。最終的に達成したい目標から逆算し、「いつ、何をすべきか」といったプランも策定する。 その後はコンサルタントが現場に入り、課題解決に向けた市場調査や競合調査、業務フローの見直しなどのタスクをプランに従って進めていく。 先ほど例示した新規事業開発やDX関連のプロジェクトの場合は、想定顧客に新商品・新サービスに関する意見を聞く「ユーザーインタビュー」を行うこともある。課題解決に役立つ情報を「その道のプロ」にヒアリングする場合もある。 そうした施策の進捗状況を、クライアントと週次で行う定例会議で報告し、今後の進め方を議論するのもプロジェクトの一環である。 会議の種類も多岐にわたる。「財務戦略はどうすべきか」「内製・外注の比率はどうすべきか」といった特定のテーマごとに関係者で集まる分科会(小規模なグループミーティング)があれば、ちょっとした相談や情報共有を突発的に行うアドホック会議(適宜行う会議)もある。 各種会議で議論した成果を定例会議に持ち帰り、施策に反映しながら、課題解決を進めるのがプロジェクトの大まかな流れだ。ただし、細かな進め方はコンサルファームによって変わってくる。 社名は伏せるが、大手外資系コンサルのA社には「決められた型」が存在し、それに沿って顧客の課題の改善策を一つずつ検討する緻密なプロジェクト戦略を得意とする。 一方、別の外資系大手・B社は、プロジェクトの初期段階では「型にはまらない柔軟な発想」を重視している。もちろん定量的なデータも戦略策定の参考にするが、それだけにとどまらず、顧客も議論に参加しながら、新しいアイデアや解決策を導き出していく。そして、戦略がある程度固まってきたら、決まったフレームワークに基づいて実行に移していく。