観光客数40倍、ベトナムに「欧州の街並み」 世界的アイランドリゾート地目指し急速開発
ベトナム南部フーコク島周辺に世界最長級のロープウエーを備えたレジャー施設がある。一帯は欧州を思わせる街並みが広がる新興リゾート地で、国際的な高級ホテルを次々誘致。ベトナム旅行業界はこうした施設をてこに観光を振興し、東南アジアの有名な島リゾート地としての地位を確立したい狙いだ。(共同通信=松下圭吾) 島の空港から乗り場まで車で約30分。3本組ワイヤロープのロープウエーが7899.9メートルを約25分で結ぶ。乗り込んで間もなく、眼前に青空とエメラルドグリーンの海が目に飛び込み、乗客から歓声が上がった。 眼下には、鮮やかな赤や青色に彩られた漁船群が目に映る。山裾に広がる漁師町前の海岸線沿いには白い砂浜が延び、コントラストに息をのむ。 乗り場側を振り返ると2023年末に開業した米ヒルトン運営のホテルが入る欧州風の時計塔がそびえる。周辺では2022年、米マリオット・インターナショナルが巨大な宿泊施設群を展開。急速な発展を実感させられる。
降車地の島「ホントム」は現地の言葉でパイナップル島を意味し、大型プール施設や遊園地がある。南部ドンナイ省の会社員(42)は毎日花火が上がるリゾートで家族と多くのショーを楽しんでいると強調。「何度も来たい」と笑顔を見せた。 国営メディアによると、政府がフーコク島の観光振興を本格化させたのは2004年で、国際空港開港は2012年だ。島南部の本格的な開発はここ10年ほど。高い経済成長を背景に、2004年からの約20年で観光客数は約40倍、観光収入は約50倍に上昇した。 さらなる発展を目指し、旅行業界は近年、外資誘致に注力。マリオットやヒルトンなどホテルチェーンは1億人を超える会員を抱え、客は旅先でも同じチェーンのホテルを選ぶ傾向が高いからだ。ブランド力をてこに新規顧客獲得を期待する。 政府も観光を成長産業と見なして後押し。旅行業界は世界中から観光客が訪れる、国を代表するリゾート地に発展させたい構想だ。