米国で音楽フェスの中止相次ぐ、「何もかも高くなった」と嘆く主催者
(ブルームバーグ): 米テネシー州の音楽ファンは過去40年間、夏のリバーベンド・フェスティバルを楽しみにしてきた。これまでにライオネル・リッチーやZZトップなどをラインアップに迎えた音楽の祭典は、今年は開かれない。
「リバーベンドは将来に成功するため、その価値を見直しつつ再編成を行っている」と主催者はウェブサイトで説明した。
音楽フェスティバルは長年の成長期を経て、一部が衰退しつつある。ブルームバーグの調査によると、米国では今年キャンセルになった音楽フェスは10を下らない。消費者のコスト意識が敏感になったことも一因だが、スタッフやステージ、そして出演者にかかるコストの上昇も大きい。
「何もかもが高くなった。アーティストもそうだ」と音楽フェスを主催するブリュー・ハ・ハ・プロダクションズを創業したキャメロン・コリンズ氏はインタビューで語った。
4月に開催されるコーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバルは、1月にチケットを発売したが、まだ2週目の週末のチケットが売れ残っている。デラウェア州ドーバーのファイアフライ・ミュージック・フェスティバルは、今年も開催を見送ることにした。このフェスティバルはかつてグリーン・デイやデュア・リパを招き、10年にわたってファンを魅了してきた。主催者はソーシャルメディアへの投稿で、「然(しか)るべきタイミング」に再開すると述べた。
両フェスティバルを所有するAEGワールドワイドはコメントを控えた。
音楽フェスが抱える問題は、テーマパークからカジノに至る他の消費者ビジネスに起きていることを映す鏡であり、ポスト・コロナの旅行急増が一巡した後のコスト意識を反映している。複数日の音楽フェスに行くコストは、ホテル代や移動費、高いビール代を含めて1000ドル(約15万円)では足らないこともある。
この状況に手を打とうとするプロモーターも出てきた。テネシー州のボナルー・フェスティバルは4日間開催されるが、2日間だけのチケットを購入できる「ハーフ・ア・ル-」のオプションを用意した。