パワハラやシゴキを受けた人はなぜ同僚や後輩に同じことをしてしまうのか?
■ 高学歴の人がトラブルを起こしやすい理由 ──本書には、高学歴の人が起こすトラブルがたくさん書かれています。高学歴の人は、なぜそんなにトラブルを起こすのでしょうか? 片田:やはり、プライドが高くて承認欲求が強いからでしょう。高学歴の人はもともと能力が高いのですが、さらに親の願望に沿う形で、本人が努力して手に入れたという場合が多い。努力をしたからこそ、承認欲求が強くなるのです。 また、そういう方は自分が頑張れば報われると思っているところがありますが、社会に出ると、学校の勉強と同じように努力をすれば必ず報われるとは限りません。 たとえば、一流大学は出ているけれど、コミュニケーション能力がそれほど高くない人が銀行の融資課などに配属されても、あまり良い成果は出せないでしょう。融資担当は顧客とのコミュニケーションが重要ですから。 その結果、取ってきた仕事の案件の数で格下の大学を出ている人に負けてしまうこともある。これでは、承認欲求が満たされません。 でも、高学歴の人は過去の成功体験がとても大きいので、自分はこんなにできるはずなのに、なぜ認めてもらえないのかと怒りと不満が湧き出してくる。どうしても問題を起こしやすいのです。 ──承認欲求というものは、苦労してきたから大きくなるものなのですか。それとも、そもそも承認欲求が強い人もいるのですか? 片田:そもそも承認欲求が強い人もいます。「承認欲求が強いから頑張れた」と言い換えることもできます。「褒められたい」「一番になりたい」という欲望が人一倍強い人が高学歴を手に入れるわけです。 ──知人に、高学歴で、周りの人のことを少し見下していて、そのせいか他人とトラブルが絶えない人がいます。よく話すと、本人にその自覚があるのですが、だからといって尊大さは消えない。 片田:そういう気持ちはやはり滲み出るものですよね(笑)。一番それが明快に出ているのが、一流大学を出て、キャリア官僚になり、その後、国会議員になったような人で、よく問題を起こしますよね。 ──あれは如実に出ているのですね。 片田:そうです。 ※後編「どうしてあの人の陰口を始めると止まらなくなるのか、職場に必ずいる『腐ったミカン』への対処法」に続く 長野光(ながの・ひかる) ビデオジャーナリスト 高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。
長野 光