「県警職員の犯罪を本部長が隠ぺいしたことが許せなかった」情報漏えい容疑で逮捕の元県警幹部がトップを告発 背景に県警への失望か
本部長指揮の事件 明らかにされず
本田容疑者が法廷で明かした警察官の不祥事の1つが、2023年12月の盗撮事件だ。 枕崎警察署の巡査部長が、鹿児島県内の女子トイレで女性を盗撮して逃走した疑いで逮捕され、その後起訴されている。逮捕当時の会見で県警の首席監察官は、犯行当時、巡査部長が勤務中だったのかどうかも含め、事件の詳細を一切明らかにしなかった。 これに対して本田容疑者は、「容疑者は枕崎署の捜査車両を使っており、署員が容疑者と聞きました。生活安全部長として報告を受けた私は強い衝撃を受け、捜査指揮簿に迷いなく押印をし、野川本部長に指揮伺いをしましたが、野川本部長は『最後のチャンスをやろう』『泳がせよう』と言って、本部長指揮の印鑑を押しませんでした」と語った。 本田容疑者本人が逮捕された会見で、県警の西畑知明警務部長は「在任中に入手した警察情報が印字された書面を第三者に郵送し、同人に閲読させた」と述べ、本田容疑者が生活安全部長時代に手に入れた内部資料を第三者に郵送し、県警職員1人と一般人1人の個人情報を漏えいした疑いとの説明にとどめていた。 これに対して、6月5日の法廷では、本田容疑者が漏らした情報は「霧島警察署の警察官によるストーカー行為事案をめぐるものだった」と明かされた。 その上で、本田容疑者は「本部長指揮の事件となりましたが、この事件も明らかにされることはありませんでした。私は不都合な真実を隠ぺいしようとする県警の姿勢に、さらに失望しました」と語った。 本田容疑者は終始淡々としていて、傍聴席は一瞥(いちべつ)もせず、うつむき加減で法廷を後にした。
現職警察官「職場は沈んでいる」
一連の内部告発について、現職警察官からは「内部告発をするなら自身の名前を明かして、しかるべき方法をとるべきだったのではないか」「本部長からアドバイスはもらったことはあるが、理不尽に否定されるようなことはなかった」「職場は沈んでいる。これからどうなるか不安」、県警OBからは「部長の立場にある人が、組織の隠ぺい体質を変えようとするなら、本部長に正面から具申すべきだった」といった声が聞かれた。 また、鹿児島県民からも「ショック。警察官の正義感が薄れているのでは?」「鹿児島の警察も落ちたな」と厳しい声が相次いだ一方、「これを機会に県警が新しい、良い方向に向かうようになってもらい、仕事を頑張ってもらいたい」と話す人もいた。 本田容疑者の弁護士は、「公益のためにやった」と勾留の取り消しを求めていたが、弁護士によると、6月5日付で請求は却下された。 相次ぐ不祥事を許すことができないのはもちろんだが、今回の内部告発について鹿児島県民が納得できるような説明が求められる。 (鹿児島テレビ)
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