『化け猫あんずちゃん』山下敦弘×久野遥子のW監督でアニメ映画化 森山未來が“化け猫”に
いましろたかしの漫画『化け猫あんずちゃん』がアニメーション映画化され、7月に劇場公開されることが発表された。 【写真】『化け猫あんずちゃん』実写とロトスコープを比較した画像 『リンダ リンダ リンダ』や『カラオケ行こ!』の山下敦弘と、『花とアリス殺人事件』にロトスコープディレクターとして参加した久野遥子がW監督を務める本作。実写で撮影した映像から動きや表情を抽出してアニメーションにするロトスコープの手法が採用された。まず山下監督を中心に実写として撮影し、その映像をもとに久野監督が中心となり生き生きとしたアニメーションを作り上げる。実写で役者が演じた登場人物たちはその魅力を活かしながら、久野監督デザインによるキュートなキャラクターに変貌をとげ、ロトスコープならではの生き生きとした動きや表情で動き回るアニメーションになるという特別な仕上がりとなった。 アニメーション制作は、『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』、『窓際のトットちゃん』で知られるシンエイ動画と、2023年のカンヌ国際映画祭で短編パルムドールを受賞した『24(原題)』のスタジオであるフランスのMIYUプロダクション。2社が共同で制作する初の長編アニメーションとなる。 久野監督は、多摩美術大学在学中に制作した短編アニメーション『Airy Me』が第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を始め多数の受賞、海外映画祭での上映にて一躍注目を集めた。アニメーション作家として活躍する傍ら、商業アニメーションとしてTVアニメ『宝石の国』、『BEASTERS』、『映画クレヨンしんちゃんシリーズ』などにも演出、絵コンテ、原画などで参加している。海外でもその才能が注目されており、フランスからの依頼を受けて日仏合作の運びとなった。 化け猫のあんずちゃん役を演じるのは、『ボクたちはみんな大人になれなかった』『ほかげ』などの森山未來。森山があんずちゃんを実写映画と同じように演じ、撮影。その映像から動きや表情のエッセンスを抽出し、アニメーションのあんずちゃんに命が吹きこまれ、人間味のある動きや表情が表現された。声も撮影時の音声がそのまま本編に使用されており、自然でリアルなやりとりを生んでいる。 あんずちゃんの声と動きを担当した森山は、「森山の造形はほぼ跡形もなくなるんだな。でもフランス×日本合作の実験的で楽しそうな座組だし、あんずちゃんよろしく、ゆるゆると夏休み気分で行ってみるか!」と撮影に参加した際の気持ちを振り返った。 また、鬱屈した思いを抱え、あんずちゃんと出会い変わっていく少女“かりん”を、山下監督の『1秒先の彼』に出演した五藤希愛が演じる。 あわせて公開された超特報映像は、MIYUプロダクションが中心に作り上げた絵画のような背景の中に、ロトスコープにより生きているかのように描かれるあんずとかりんの瑞々しいアニメーションが映し出されている。 ■コメント ・森山未來(あんずちゃん役) コロナ禍真っ只中の夏の日。 山下敦弘監督、いまおかしんじ脚本で映画を撮るという。 10年ぶりの懐かしくも嬉しい座組である。 そして久野遥子監督によって、ロトスコープ・アニメーションになると聞く。 実写からアニメに? それもおもしろそうだ。 原作はいましろたかしさんの『化け猫あんずちゃん』。森山はあんずちゃん。 ……森山の造形はほぼ跡形もなくなるんだな。でもフランス×日本合作の実験的で楽しそうな座組だし、あんずちゃんよろしく、ゆるゆると夏休み気分で行ってみるか! それが東宝の配給による夏休み映画になるらしい。 青天霹靂、棚からぼたもち……いやいろいろ失礼かもしれないけれど、正直びっくりである。 まぁ、そんな個人的な成り行きはともかく、楽しんでもらえたら幸いです。 ・五藤希愛(かりん役) かりん役で出演が決まったとき、嬉しくて、思わず飛び跳ねて喜びました。 同時に私にできるだろうかという不安もたくさんありました。 なぜなら、台本を初めて読んだとき、「えっ!私以外ほぼ妖怪?」と驚きましたから(笑)。 今回の作品で、森山さんと同じシーンを経験させて頂けたことが、私にとって何よりも大変貴重で、幸せな時間でした。 劇場公開がとっても待ち遠しいです。 ・久野遥子(監督) 学生のころ偶然本屋でいましろたかし先生の漫画を見つけて、なんて実直に人間を描いているんだと衝撃が走りました。なので「化け猫あんずちゃん」の監督オファーは本当に嬉しかったです。 ロトスコープは実写映像を元に絵を描く手法な為、リアルな身体表現のために使用することが多いのですが、私はお芝居の魅力を表現することにも向いていると思っていました。 山下監督が映し出す温度のあるお芝居を冷ますことなくアニメーションで再構築する体験は贅沢で痺れました。 そして、Miyu Productionsによって描かれた美術と色彩は、見慣れた日本の風景をこんなに新鮮な景色にするのだと驚きました! そんな風景を生き生きと動き回るあんずとかりんをぜひ劇場で体感してください! ・山下敦弘(監督) 漫画『化け猫あんずちゃん』はいつか映像化したいと思ってはいましたが、まさか長編アニメ映画として作ることになるとは思ってもいませんでした。共同監督の久野遥子さんは時に原作から逸れて行ってしまう自分を何度も引き戻してくれて、原作への愛情の深さに自分自身、とても影響を受けました。主人公“あんず”にはずば抜けた身体能力を持った森山未來しかいないと、自分の中で決めていて、“猫”という難しい演技を森山くんは期待以上に表現してくれました。企画の立ち上げから7年以上の月日が経とうとしていますが、唯一無二の映画が出来上がりました! 是非、スクリーンで観てください。
リアルサウンド編集部