東洋大の石田洸介が5000メートルで2年ぶりに13分台をマーク 昨季の不調から完全復活へ
陸上の日体大長距離競技会が13日、横浜市の日体大健志台陸上競技場で行われ、男子5000メートルで東洋大の石田洸介(4年)が13分57秒57で走り、2年ぶりに13分台をマークした。「調整をせず、練習の流れの中で出場しましたので、ほぼ予定通りのタイムです」と冷静に話した。 石田は、昨年4月8日の金栗記念選抜陸上中長距離大会1万メートルで30分3秒38で最下位と苦戦した後、実戦から遠ざかり、昨季は出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の学生3大駅伝すべて欠場した。5000メートルの元日本高校記録保持者は、大学3年時は苦しいシーズンとなったが、学生ラストシーズンの今季は完全復活の道を進んでいる。 7日に関東私学7大学対校3000メートルで1年ぶりにトラックレースに復帰し、3000メートルで8分4秒20の5位と好走。中5日で、この日、5000メートルを走り、来週の21日は東海大競技会の1万メートルに出場予定。酒井俊幸監督(47)は「練習の一環として、3000メートル、5000メートル、1万メートルと3週連続で出場します。きょうの5000メートルは関東学生対校(関東インカレ、5月9~12日、東京・国立競技場)の参加標準A記録(14分10秒)を突破すれば十分でした。来週の1万メートルも同じく関東インカレ参加標準A記録(29分5秒)を切れば、それで十分です」と説明した。 関東の学生長距離ランナーにとって、関東インカレは、箱根駅伝に次ぐビッグイベント。「関東インカレは恥ずかしながら4年目にして初出場になります。5000メートルか1万メートル、あるいは両種目に出場したい。チームを盛り上げる走りをしたいと思っています」と石田は充実した表情で話した。 福岡・浅川中3年時に1500メートル3分49秒72、3000メートル8分17秒84、5000メートル14分32秒44と3種目で中学日本記録をマーク。全国都道府県対抗男子駅伝では中学生区間の2区(3キロ)で8分14秒の区間新記録で15人をゴボウ抜きした。群馬・東農大二高へ進み、3年時の20年7月に5000メートルで16年ぶりの高校新記録となる13分36秒89をマーク。同年9月には13分34秒74とさらに更新。東洋大でも1年時に出雲駅伝5区、全日本大学駅伝4区で区間賞。トップを走り続けてきたが、昨季は不調に陥り、両親(父・恵一さん、母・久美さん)、酒井監督と話し合った結果、昨年5~8月は福岡・遠賀町の実家に帰った。 「今だから言えますが、陸上を辞めるつもりでした。全く走らず、家からも出なかった。猫とゴロゴロして、動画を見たりしていました。不適切かもしれませんが、実家で過ごす日々は幸せでした。2か月たった頃、市民ランナーの父に『ご飯をおいしく食べるために一緒に軽く走ろう』と言われ、少しずつ走り始めました。結局、時間が解決してくれた。4か月、長かったけど、僕には必要な時間でした。両親は『久しぶりに一緒に過ごせてうれしかった』と言って、送り出してくれました。東洋大に戻る時は『どんな顔をして戻ればいいのか』と気まずかったけど、チームは何事もなかったように受け入れてくれた。特に同期のみんなに助けられました。両親はすごく心配だったと思いますが、温かく見守ってくれた。チームは、チームを離れていた僕を温かく受け入れてくれました。支えてくれたすべての人に恩返ししたい」 石田はスポーツ報知のインタビューで昨季の苦悩と、今季にかける思いを明かしている。 1秒を争う世界から「一時避難」し、ゆったりとした時間を過ごしたことで活力を取り戻した。大学ラストシーズン。石田洸介は東洋大のキーマンとして、関東インカレ、そして、学生3大駅伝に臨む。
報知新聞社