発刊された井上博道さんの伝記。本文編と写真編からなる

大和の古寺や風景を撮り続け、平成24年に81歳で亡くなった写真家、井上博道さんの生涯を伝える伝記を奈良市中登美ケ丘に2年前に開館した井上博道記念館が発刊した。今年の十三回忌に合わせた出版で、妻の千鶴さん（77）は「博道という人間を伝えたい」としている。 伝記は「ひとすじの道－写真と共に歩んだ井上博道の生涯－」として、本文編と写真編の2冊で構成している。 本文編では、記念館館長の西村寿美雄さんが井上さんにゆかりのある人たちに取材して半生をたどり、兵庫県・香住の禅寺に生まれたことや学生時代、産経新聞社のカメラマンだった時代、そしてフリーになってからのことを伝えている。　また、同社に在籍中に企画などを通じて親交を深めた司馬遼太郎さんが井上さんについて記した文章も掲載。さらに千鶴さんと娘の千華さんが、井上さんの優しさに満ちた人柄や受け継いだことなどを記している。 写真編では、明暗のある作品を数多く収録。奈良や京都の有名社寺の写真が目立つが、樹木や空など何気ない風景をとらえた作品もあり、自然への眼差しがうかがえる。 千鶴さんは「博道は写真に一筋の人で、多くの作品が残っているが、その人間性も知っていただきたくて伝記をまとめた」と話している。 井上博道記念館で6050円で販売。問い合わせは記念館（0742・43・9111）。