竹内涼真「自分を大切にできないなら、周囲ともうまくいかない」
『龍が如く』はご褒美
元総合格闘家の朝倉未来選手に、竹内自ら連絡をとり、戦い方や肉体づくりの指南を受けた。 作品と役づくりのために、自分ができることはなんでも積極的に積み上げていく。それが竹内流だ。 俳優デビュー11年目にして、本作は「ご褒美のようだ」と、笑う。 「撮影現場は、これまで感じたことのないようなすさまじい熱量に満ちていました。そのなかで僕も同じ熱量で向き合えたことは、11年この仕事をやってきたご褒美だと感じたんです。 だからこそ僕は先輩後輩関係なく、素直に提案や相談をさせていただきました。先輩方もそれを受け止めてくださる大きな存在で。 そうやって生まれる化学反応はすさまじく、撮影の間、毎日ヒリヒリとした恍惚感に包まれていました。とても幸せな時間でしたね」
サッカーをやっていた頃の最大の後悔
先輩相手でも、怯(ひる)むことなくまっすぐ対峙する。その物怖じをしない姿勢は、竹内の生まれつきのものではなく、意識的してのものだという。 「僕は5歳からサッカーを始め、プロになる一歩手前まで行きましたが、怪我で断念しました。 今でも後悔しているのが、サッカーをやっていた頃の僕は、すごく物怖じをする性格だったということ。サッカーが好きで自分のすべてだったのに、それを表現しきれなかった。 とにかく何かに怯(おび)えて『どうやったらミスをしないか』『どうやったら怒られないか』ばかり考えていました。 そういうネガティブな姿勢だと他の選手と同じ練習をしていても、結果が全然違うんですよ。周りに何を言われてもこれが自分のスタイルだ! と技を磨いていく。それができなかったから僕はプロになれなかったと思っています。 10代の時にそうやって一度挫折していますから、新たに拓けた俳優の道では、絶対同じ失敗は繰り返したくない。だから自分というものをしっかりと持ってやろう。そう俳優の仕事を始めた時に決意しました」 過去をそう振り返りながら、竹内は自分に言い聞かせるようにもう一度ゆっくり言葉を発した。 「だから、今回のドラマ『龍が如く』でも桐生一馬になるんじゃなくて、桐生一馬を引き寄せる。自分の表現にしないといけなかったんです」