「外食恐怖症」公表した気象予報士・小林正寿「教育実習では給食を必死に飲み込んだ」ツラい過去を明かす訳
いちばん困ったのは、教育実習です。生徒の前で給食を残すわけにはいかないので、料理を必死に飲み込みました。このときはつらくて、「自分には教員は無理かもしれない」と思いました。結局、教員採用試験にも落ちてしまったんですが。 何かきっかけがあったわけでもないし、原因もわかりません。今思えば、ろくに受験勉強をしないでなんとなく大学に入った自分への自己嫌悪が原因だったのかもしれないと思いますが、よくわからないんですよね。
■気象予報士・森田正光さんとの食事会に参加したい… ── どのように克服したのですか。 小林さん:病院を受診したのは、気象予報士になってウェザーマップに所属してからです。当時、社内で森田正光さんを囲んで朝からカレーを食べるという会が週に一度開催されていて、僕も誘っていただきました。せっかくの貴重な機会だから参加したいと思ったのですが、自分はその後にテレビ出演を控えていたので、オンエア前に具合が悪くなったら出演できなくなってしまうかもしれません。頑張って勉強して気象予報士になれたのに、「このままでは仕事ができなくなってしまうかもしれない」と追い詰められました。
それでようやく、近所の心療内科を受診することにしました。病院で不安を抑える薬をもらって、外食する前に薬を飲むようにしたら、外でも食べられるようになったんです。それからステップを踏んで、2~3年をかけて薬を手放していきました。 最初は、症状が出そうなときだけ薬を飲むようにして、そのうちに、薬はお守りとして持っているだけで大丈夫になりました。お酒が好きなので、食事のときにお酒を飲みたいということもモチベーションになりましたね。今ではすっかり症状はありません。
── ご自身の経験を公表しようと思われたのはどうしてですか。 小林さん:積極的に「公表しよう」と思ったわけではないんです。取材のときなどにぽろっとお話ししたら、周りの人から「実は私もそうなんです」と言われることが増えて。同じ症状を持っている人の参考になるなら、と思って話すようになりました。 僕も、当時は「一生このままなんじゃないかな」と思っていました。でもすっかり症状は治まりましたし、パニック障害の人にとってはハードルが高いと思われるテレビの生放送の仕事を続けています。