【漫画】舞台は戦後の昭和…哀愁漂う“機械化人間”の白熱バトルに「先が気になる」「心躍る」と好評の声続出
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、横尾公敏さんの『幻影軍人06号』だ。 【漫画】陰謀によってバトルが勃発…戦後の昭和を舞台にした“機械化人”の様子に「レトロ感がたまらない」と反響続出 同作は2011年から2013年まで「月刊COMICリュウ」にて連載された、自らの肉体を兵器とした“機械化人間”を描く『大昭和怪人伝』の一部を切り取った作品。横尾さんのX(旧Twitter)に投稿されると、2200ほどの「いいね」とともに様々な反響が寄せられている。作者である横尾さんに『大昭和怪人伝』を描いたきっかけや、『幻影軍人06号』のお気に入りの場面について話を伺った。 ■機械化人間同士が誰かの陰謀によってバトル? 昭和35年東京都台東区下谷(したや)、ひとりの機械化人間が殺される。暗躍した人物も機械化人間であり、目的が果たされると、公衆電話で「山本大将でありますか 戦意無き不届き者を処分いたしました」「はっ 次の標的でありますか」「はっ 了解しました!!」と報告をしていた。 そして、場所が変わり、新橋の屋台にいた機械化人間の「三船敬三」は、突如見知らぬ者に刀で切りかかってこられる。間一髪で交わすと、屋台の店主である「森」も加勢。切りかかってきた謎の人物は大量の紙吹雪を上空に放つと、いつ間にか姿をくらます。そして、森が「奴はいったい…」と言葉をもらすと、三船は「仕事相手さ」とつぶやくのだった…。 機械化人間による戦いを通じた世界観に、読者からは「味のあるサイボーグが良いのはもちろん、昭和全開の雰囲気が最高」「ロボットのデザインに惹かれる」といった好評の声が上がっている。 ■戦後の昭和を舞台にすることが始まり? ――そもそもの質問で恐縮ですが、『大昭和怪人伝』を創作したきっかけや理由があればお教えください。 ロボット残党兵の連載が終了した後に、担当と次の連載は長編ではなく、1話完結のエピソードの連作で描きましょうという話をしていました。月刊連載なので、毎月1エピソードが読みやすいですし。「ロボット残党兵のキャラクターたちを使った、戦後の昭和が舞台の漫画を描いて見たい」という話をしていたところから産まれました。 私の中では昔の昭和は雑多で現代より暑苦しく魅力のある時代だと思います。昭和の映画やドラマ、アニメ、漫画はメチャクチャですが、魅力が詰まった作品が多いですよね。担当も昭和の作品が好きなので、2人で盛り上がりました。その時代を舞台にした機械化人間(サイボーグ)たちの、その後の人生を描くのも面白いとなり、『大昭和怪人伝』になりました。 ――Xに投稿された『幻影軍人06号』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。 大昭和怪人伝は、戦後を引きずりながらも新たな人生を生き続けるサイボーグ(機械化人間)たちの話なので、1話目は戦争をまだ生きてる悲しい兵士の話にしようと思ってました。そこでサイボーグの痴呆を問題にした話はどうだろうと思いました。彼らは人間なので、認知症や介護の問題も起こるはずですし。戦争を引きずる老兵と、戦後を生き抜こうとする兵士の話は漫画の世界観の掴みには良いと思いました。 ――『幻影軍人06号』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。 東京タワーを背に叫ぶ老兵のシーンですね。最初にこのシーンは描きたいと思いました。東京タワーは昭和の象徴ですからね。新しい昭和と終わった昭和の対比になってます。 ――作中に登場する特徴的なロボットの数々を描く際は、どのようにしてデザインを考えたのでしょうか。 機械化人間は、ネームを描きながらデザインが完成するようにしています。どんな行動をするかで決まってきますね。「手が伸びる」「装甲が厚い」「体に刃物が内蔵されてる」「クモのように壁を移動する」など機能や話の展開から軽くデザインを決め、最終的なデザインは作画前に固めます。 ――今後の展望や目標をお教えください。 現在は「COMIC MeDu(コミックめづ)」で「ここが僕の世界」という読み切り漫画を描きました。もともと連載企画で考えていたので、続きが描きたいですね。 内容は1986年(昭和61年)の不良(ヤンキー)高校を舞台にした、陰キャのオタク学生と暴走族に入ってる不良のオタク学生の友情話です。当時の次々に増えるオタクカルチャーとヤンキーブームのエピソードを交えながら、学生生活を描い見たいですね。 彼らの時代が最もオタク、ヤンキーが文化だった昭和最後の3年間だと思います。平成1年になると、2つの文化は突然変貌するんですよ。その前を描きたいです。昭和大好きの私の好きな題材ですね。 ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします! 10年前の漫画ですが、楽しんでもらえると、また何かの形で「ロボット残党兵」シリーズをみなさんにお届けできると思います。その時は楽しんでください。単行本は廃盤ですので、電子でお楽しみください。