中国、月探査用の中継通信衛星「鵲橋2号」の打ち上げと月周回軌道投入に成功
中国航天科技集団有限公司(CASC)は日本時間2024年3月20日、中継通信衛星「鵲橋2号(Queqiao-2)」を搭載した「長征8号」ロケットの打ち上げに成功しました。 直近のロケット打ち上げ情報リスト 鵲橋2号を搭載した長征8号は日本時間2024年3月20日9時31分(北京時間同日8時31分)、中国の文昌衛星発射センターから打ち上げられました。中国国家航天局(CNSA)によると、鵲橋2号は発射から12分後にロケットから分離され、近地点200km・遠地点42万kmの月遷移軌道に投入された後、衛星に搭載されている太陽電池アレイと通信アンテナが展開されて打ち上げは成功しました。長征8号が中国の月探査計画で使用されるのは今回が初めてです。 中国航天科技集団有限公司(CASC)によると、打ち上げから約112時間後の日本時間2024年3月25日1時46分に鵲橋2号を月周回軌道へ投入するためのエンジン燃焼が月の高度約440kmで開始され、約19分後に成功しました。24時間周期の楕円軌道に投入された鵲橋2号は今後、高度300km×8600km、軌道傾斜角54.8度の12時間周期の軌道に遷移する予定だということです。
鵲橋2号は月周回軌道で運用される中国の中継通信衛星で、2018年に打ち上げられた通信衛星「鵲橋」の後継機として開発されました。鵲橋2号は今後実施が予定されている月探査計画「嫦娥6号」「嫦娥7号」「嫦娥8号」で地球と着陸機の通信を中継する役割を担う他に、鵲橋の運用終了後は現在運用中の月着陸機「嫦娥4号」の通信も引き継ぎます。衛星の耐用年数は約8年とされています。 重量1200kgの鵲橋2号にはX帯とUHF帯で月着陸機と通信するための直径4.2mのパラボラアンテナと、S帯とKa帯で地上局と通信するための直径0.6mのパラボラアンテナが搭載されています。また、極端紫外線カメラ(EUC)など3機の科学機器を用いた科学探査も行われます。 CNSAによると、嫦娥6号の打ち上げは2024年前半に予定されています。嫦娥6号は月の裏側から砂(レゴリス)や岩などを地球へ持ち帰るサンプルリターンミッションで、成功すれば月の裏側からのサンプルリターンとしては世界初となります。