「アメリカンポップ」イラストレーターと会社員の二刀流 個展や観光マップ「生まれ育った街に貢献したい」
海外アニメのような色使いがはっきりとし、ダイナミックなデフォルメ表現の「アメリカンポップ」と呼ばれるジャンルの絵を描く。熊谷爽太さん(24)は、会社員をしながら、滋賀県長浜市を拠点に「Kuma/BIG BEAR」の名前でイラストレーターとして活動している。 【画像】「アメリカンポップ」のイラストを手掛ける熊谷さん 幼いころから、絵を描くのが大好きだった。図工や美術は常に一番良い成績で、いつもスケッチブックを持ち歩いた。広告の裏などスペースがあれば、思うままに描いた。 大学2年の時に新型コロナウイルスが流行し、小学生から続けていた野球部の活動ができなくなった。空き時間が増え、タブレット端末で興味があったアメリカンポップの絵を描き始めた。似顔絵を友人にプレゼントしたところ評判となり、結婚式のウエルカムボードや飲食店のメニュー表などのデザインを頼まれるようになった。 「あんたの絵、売れるぞ」。住職をしながら、消しゴムはんこのアーティストとして活動する叔母から言われ、「自分の絵を多くの人に見てもらいたい」と4月に初の個展を市内で開いた。2日間で約840人が来場し、想像以上の反響に驚いた。 個展をきっかけに、長浜まちづくり株式会社から長浜市の観光マップの制作を依頼された。目指したのは、地域の魅力を伝えるだけではなく、「お土産になるマップ」。5カ月ほどかけて約50点のグルメや市内の見どころのイラストを手がけ、「長浜おさんぽマップ」を完成させた。JR長浜駅近くの「ビワコピクニックベース」などで無料配布している。 10月には2回目の個展を市内で開催し、「若い人たちが長浜に来てくれるきっかけになれば」と笑顔を見せる。 クリエイター仲間から、大阪や東京で一緒に活動しようと誘われるが、地元長浜での活動にこだわる。「生まれ育った街で描いて、それが地域貢献につながれば最高ですね」