復興願いあばれ開幕 キリコ祭り先陣切り 能登町宇出津 竹製の仮鳥居くぐり
石川県無形民俗文化財「あばれ祭(まつり)」は5日、能登町宇出津で2日間の日程で始まり、午前中は2基のあばれ神輿(みこし)が練り歩いた。能登半島地震で甚大な被害を受け、当初は開催が危ぶまれたが、日本遺産「能登のキリコ祭り」の先陣を切り、ほぼ通常通りに営まれることになった。地元住民は地震からの一日も早い復興を祈願した。 祭りは八坂神社での神事で幕を開けた。地震で鳥居が倒壊したため、代わりに竹製の仮鳥居が立てられ、役員や神輿の担ぎ手ら約120人が祈りをささげた。 この後、法被を着た若衆が祭神の「須佐之男命(すさのおのみこと)」を乗せた白山方、酒垂(さかたる)方の神輿をそれぞれ担いで出発。「チョーサ、チョーサ」と勇ましい掛け声を響かせながら氏子の家々を巡った。 宇出津では地震と津波の被害に見舞われ、多くの建物や道路が損壊したが、神輿とキリコが巡行する大半の道路と広場、電柱は仮復旧工事を終えた。 ●「来年は祝う祭りに」 宇出津祭礼委員会の新谷俊英委員長(70)は「今年は地元主体で復興を祈願する場となるが、来年は復興を祝う祭りになればと願っている」と話した。 午後からは36町内会中、32町内会がキリコを繰り出す。キリコの大半は午後9時ごろから宇出津港いやさか広場に向かい、燃え盛る柱松明(はしらたいまつ)の周りを火の粉を浴びながら乱舞する。 あばれ祭は八坂神社の夏季例祭で、約360年前に始まったとされる。6日は神輿を川や海、火の中に投げ込んで壊す。