野菜不足を野菜ジュースで補いがち… 「ダイエットしているのに痩せない人」の特徴と対策
甘いものが我慢できず、万年ダイエッター。食べ物には気をつけているはずなのに一向に痩せる気配がない…。そんな人は、朝食に対する考え方に間違っている部分があるのかもしれません。今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、永遠のテーマであるダイエットを成功させるための食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます! 【画像】朝食の見直しをしてみませんか?「ダイエットしているのに痩せない人」のNG習慣まとめはコチラ
万年ダイエッターを卒業したい
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 264 芝桜、藤、ネモフィラ、八重桜など、日本各地で様々な花が見ごろとなっています。夜にはライトアップされ、多くの人が足を運びますよね。みなさん、今年はどこに遊びに行きますか? GWのお出かけのためにバッグや靴、洋服などを新調したかたも多いかもしれませんね。 ただ、いざコーディネートしてみると服のデザインより自分自身が少し太めなところが一番目につく…と悩んでしまうことはありませんか。いつもダイエットしているのに、痩せない、大事な時に限って太っている、むくみが際立つという悩みを感じたことがある人は男女を問わず多いと思います。 ということで、今週はダイエットしているのに痩せないと悩む人のための食薬習慣を紹介していきます。 今週は、ダイエットに役立つ食薬習慣 最近、ワンピース、チュニック、ダボっとしたシャツなど、体型を隠してくれる洋服に頼っているという人はいませんか。街中ですれ違う人が、体のラインがわかる服を着ているとカッコいいなとあこがれちゃいますよね。気分は常にダイエット中なのに、行動では「今は仕方ない」「ストレス解消のため」「明日から頑張るから今だけ」「限定商品だけは…」と、自分をあの手この手で説得し、スイーツを食べることを正当化してしまうこともあるかもしれません。 ただ、どうしても甘いものやパン、麺類などダイエットの大敵となる食べ物を我慢できないというときには、糖質に依存していることが多いです。甘いものを食べると脳ではドーパミンが分泌され幸せな気分になりますが、その気持ちは一瞬でなくなってしまい、再び幸せを感じたくなるため甘いものを食べたくなります。 さらに、甘いものを食べると血糖値の乱高下を起こし、最終的には幸せどころかイライラしてしまうということもあります。そして、再び甘いものを食べ、心を安定させるという状況に陥ってしまいます。これを繰り返すとダイエットからどんどん遠のいてしまいますよね。この状態を漢方医学では、『脾胃』に『湿熱』がたまっている状態と考えることがあります。そこで、これを解決するために『湿熱』を取り除き『脾胃』を強化する食薬がおすすめです。 今週食べるとよい食薬は、【大根おろしとトロロの味噌汁】がおすすめです。そして逆にNG習慣は、【朝イチの野菜ジュース】習慣です。 食薬ごはん【大根おろしとトロロの味噌汁】 『脾胃』を整える三種の神器が揃った味噌汁です。キャベツ・長芋・大根の3種を組み合わせて、甘いものや麺類など太りそうな食べ物で疲れてしまった胃腸に元気を取り戻しましょう。また、食欲を過剰に感じさせる『湿熱』を解消する食物繊維やファイトケミカルも豊富に含まれています。 <材料> 大根 5㎝くらい(皮ごとすりおろす) 長芋 5㎝くらい(皮ごとすりおろす) キャベツ たっぷり(100gくらい) 生姜 2片(すりおろす) 鰹節 1つかみ(手で粉々にしていれる) 水 400ML 味噌 大さじ1 海苔 あれば少し(刻む) 七味 お好みで <作り方> おろした大根と長芋をよく混ぜ合わせておく(A)。お鍋に水、キャベツ、生姜、鰹節を入れ火が通ったら、味噌を溶く。器によそい、(A)をお好みで乗せて、海苔と七味をトッピングする。 NG行動【朝イチの野菜ジュース】 野菜が摂れていないときに、代わりに野菜ジュースを飲むようにしている人、健康のために毎朝野菜ジュースを飲むという人も多いと思います。ただ、市販の野菜ジュースは、野菜や果物から加工される際に食物繊維の80%を消失するといわれています。 私たちがダイエット目的として野菜を摂る一番の理由は食物繊維ではないでしょうか。野菜ジュースの場合、野菜をそのまま食べるよりも腸をキレイにする働きは少なく、糖質量も多くなる傾向があり、さらに噛む必要もないため満腹感も得られにくいということも考えられます。ブロッコリースプラウトやトマト、キュウリ、ベビーリーフ、パプリカ、アボカドなど時間がない朝のタイミングでも、そのまま簡単に美味しく食べられる野菜をダイエット中はおすすめします。 ダイエットといえば、超短期間で結果を出そうとする人が多く、食べずに運動したり、急激に断糖してみたり、無茶をすることが多いと思います。ですが、健康的な体になることで代謝が上がり、むくみが解消され、適正な体重へと変化していくという、健康の先に理想のキレイな体が存在するようなダイエットが長期的な目線で見ると維持しやすくなります。長期戦と思って取り組んでいくと、逆に結果が早く現れるかもしれません。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 ※食薬とは… 『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。 近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。 ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。 Information <筆者情報> 大久保 愛 先生 漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。 ©ayakono/Adobe Stock
大久保 愛