「オムライスは全然ですが、ゴルフは成長しました」 23年ブレークした20歳・桑木志帆は“球筋チェンジ”で成長中
山下美夢有の2年連続年間女王で幕を閉じた国内女子ツアー。双子の岩井明愛、千怜、櫻井心那といったニューヒロインも誕生したが、未勝利ながらメルセデスランキング(MR)10位に入って初シードを獲得した20歳の桑木志帆もその一人だ。 18歳の桑木志帆がオムライスを作る貴重映像【動画】 2021年6月のプロテストに合格し、本格参戦1年目の22年は「リゾートトラストレディス」で4位、「富士通レディース」で7位タイに入るなど活躍。シード争い最終戦の「大王製紙エリエールレディス」はMR51位で迎え、結果次第では逆転でシード圏内の50位以内に滑り込める可能性もあった。しかし、1打及ばず予選落ち。惜しくも初シードを逃して涙を流した。 そして1年後の「大王製紙エリエールレディス」では笑顔の桑木の姿があった。2023年は「資生堂レディス」、「北海道meijiカップ」、そして日米共催の「TOTOジャパンクラシック」での3度の2位を含む、トップ10入りは10回。未勝利に終わったものの、その年の優勝者とMR上位選手40名しか出場できない最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」までコマを進めてシーズンを締めくくった。 涙の22年から大きく成長した1年を振り返ると「全部がよくなりました。飛距離だけ落ちたんですけど、それ以外はパッティングも含めて全部です」と話す。 ドライビングディスタンスは243.79ヤード(18位)から239.46ヤード(44位)に落ちたが、これは持ち球をドローからフェードに変えたことが大きい。飛距離は落ちたが、2打目以降に飛躍の秘密があった。「フェードに変えてからピンを狙っても、(グリーンに落ちてから)転がっていかない。(22年までは)フックを打っていたのでグリーンに落ちてから転がってピンから遠ざかることが多かった」。狙い通りに打てればピンの近くにとまったチャンスになり、ミスをしてもピンから遠く離れることが少なくなったという。 全体的な技術やフィジカルの向上はもちろんのこと、ウィークポイントだったパッティングも「場数を踏んでラインの読みとかが成長しました」。ドライビングディスタンス以外のパーオン率やパーセーブ率、平均バーディ数、平均パット数など主要部門のデータも前年を上回る数字を残している。 ALBA TVでは桑木がプロテスト合格直後の2021年9月に密着取材を実施。当時は18歳の最年少プロとして注目を集めていたが、「将来的には日本でも世界で活躍できる選手になりたい」と目標を語っており、その階段を着実に歩んでいる。 当時聞いた桑木の大切にしている言葉は「あきらめない」である。20位タイまでが合格ラインのプロテストは3日目に「76」と崩して27位タイに後退。最終日もボギーが先行したが、中盤以降巻き返して「70」をマーク。合格ラインぎりぎりの20位タイに滑り込んだ。「『絶対にあきらめたら終わる』と思っていて、何が起こるかわからないですから。だからあきらめないことが大切です」。その気持ちが成長を続ける桑木を支えている。 ちなみに、取材の中で桑木が「ふわとろオムライス」作りに挑戦している。クラブを包丁に持ち替えて初めて作るオムライスにたびたび“ハプニング”も起こったが…。「味は70点。見栄えが悪い(笑)。もう少しオムライスっぽくしたかった」という採点だった。 最近のオムライス事情を聞くと「全然成長していないです。ひどくなっているんじゃないですか?(笑)。料理する時間もないので…。その分ゴルフは成長しました。今はゴルフの成長だけでいいです」。包丁さばきよりもクラブさばき。2024年には国内で初優勝、世界への足掛かりとするシーズンにしたい。
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