「部屋から出たがっている」は思い込み? 長野で猫の飼い方教室
猫ブームといわれる一方、飼育法や飼い主がいない猫による被害にも市民の関心が集まっており長野県は5日、同県千曲市で「猫の飼い方教室」を開いて基本的な知識や問題解決の方法などを紹介しました。飼い主の思い込みとは違った猫の生態も明らかに。また、善意で多数の猫を飼育しながら「不妊去勢手術の経費負担に耐えられない」などと訴える声もあり、法律で登録管理されている犬とは異なる多くの課題も浮き彫りになりました。 【写真】「女性3人+5匹」全国初の猫つきシェアハウス 「このまま一緒に住み続けたい」
猫は「室内で飼育するもの」
飼い方教室は長野県長野保健福祉事務所が主催し、昨年から2度目の開催。同県の「動物愛護センター・ハローアニマル」(小諸市)の獣医師、高橋葵(たかはし・あおい)氏が飼育全般について講演、約40人の市民らが受講しました。 獣医師の高橋氏は猫の飼育について、まず「猫は外を自由に歩き回る動物だというイメージは捨ててほしい。江戸時代にネズミ駆除のため猫を屋外に放したときの印象がまだ残っているが、猫は屋内で飼育するものです」と指摘。屋内で飼う理由として、(1)交通事故の危険、(2)猫同士のけんかやけがによる感染症の危険、(3)近所の畑や庭が猫のトイレになってしまう危険――を挙げました。 交通事故の場合はほとんどが背骨を折って下半身不随になり、トイレもできなくなることがある。猫のけんかでは傷が原因で猫エイズや猫白血病になることもあり、感染症で悲惨な状態になる、などとしました。 よく誤解される例として、「猫が外を見ていて、部屋から出たがっているのではないか」という思い込みは飼い主の勝手な見方で、猫は外の動くものに興味を引かれているだけ。実は猫は家の中できちんと飼っているとその家や部屋が自分のテリトリーであると認識するため、「外に出す必要はなく、出さないことが大切なのです」。 外で生活していた猫を室内猫にするには、▽引っ越しがあったらそれをきっかけに外に出さず屋内をテリトリーとさせる、▽外に出た場合のために不妊手術をする、▽おなかがいっぱいのときに外に出るとなかなか帰ってこないので、食事はこまめに与え、外で餌をもらえないように配慮する、などを挙げました。 猫を飼うためのルールは3つあり、「飼い主がペットとの生活を楽しむこと、ペットが幸せであること、周囲に迷惑をかけないことです」。