大学生は下位チームを選ぶべき? ラグビー・リーグワン「アーリーエントリー」導入2年目の現実
トップのリーグ戦でキャリアを積める唯一の装置
日本代表入りを目指す江良がスピアーズを選んだ理由の一つは、同僚にマルコム・マークスがいたことだ。 現在ケガで離脱中の現役南アフリカ代表は、江良と同じポジションの世界最強クラスの名手である。江良が進路に迷っていた時期のスピアーズはまだ無冠だったため「優勝したチームを選んだ」という論旨も異なる。本人は言った。 「僕は世界で活躍するのが目標。1~2年で(名手から)いろいろと吸収し、少しでも早くチームに貢献して日本代表にもなりたい。それで、クボタを選ばせていただきました」 ぶつかり合いの多い競技特性上、大学を経ずに高卒でプロ入りしてすぐに出世する人は極めて限られる。流通経済大柏高校から東芝ブレイブルーパス東京に入った現日本代表のワーナー・ディアンズでさえ、加入時におこなわれていた旧トップリーグのシーズンは公式戦に出ていない。 力のある高校生の多くが大学進学を選ぶのは不自然ではないうえ、実現には大幅な規定変更が必要な大学、リーグワンとの二重登録制度は、すぐには本格化されまい。 日本ラグビーフットボール協会は今年5月、有望な大学生を現代表スタッフが鍛えて回る「ジャパン・タレント・スコッド・プログラム」を発足。若年層の成長に関して、リーグワンでの実戦経験だけに頼るのではなく、特別プログラムを用いて磨く方針を採ることにした。 現状ではアーリーエントリーは、大学に4年間在籍するラグビー選手が国内トップのリーグ戦でキャリアを積める唯一の装置。来季以降、どのように活用されるかが注目される。 <了>
文=向風見也