大学生は下位チームを選ぶべき? ラグビー・リーグワン「アーリーエントリー」導入2年目の現実
大学生は下位チームを選ぶべき?
今回、アーリーエントリーを用いた7チームのうち、ブラックラムズを含めた3チームはディビジョン2上位との入替戦に出場。昨季のアーリーエントリー出場者のうち半分は最下位だった花園近鉄ライナーズの選手だったことを鑑みても、アーリーエントリーは起爆剤を求める中位以下のチームで活用される傾向にある。 一方、学生時代から代表入りが期待される強豪大学の選手は、上位チームに進む傾向が強い。当該のクラブは、既存の戦力を軸にプレーオフ進出を懸けたヒリヒリする勝ち点争いを演じているため新人登用には慎重だ。 早期のブレイクが期待される逸材がチャンスをもらいづらいのはそのため。東海大学から4位の横浜キヤノンイーグルスに来たスタンドオフの武藤ゆらぎ、前早稲田大学主将で5位のコベルコ神戸スティーラーズの門をたたいたユーティリティーバックスの伊藤大祐が初陣を飾ったのは、プレーオフに進む4チームが決まった後のことだった。 江良、為房を起用したスピアーズも、昨季王者ながら序盤に黒星がかさんでいた経緯がある。江良がイーグルスとの第10節で前明大主将のインサイドセンターである廣瀬雄也とそろってベンチ入りしたのは、田邉淳アシスタントコーチがフラン・ルディケヘッドコーチに進言したことと無関係ではない。 もっとも、これは「大学生は下位チームを選ぶべき」と説くための分析ではない。 あくまで、各自が声のかかったチームのうち、現状と目標値のギャップを埋めるのにベストな場所を選ぶのが是。それが生存競争の激しい強豪クラブであれば、その選択は尊重されるべきだ。 某クラブの採用担当者の話によると、最近の大学生は早めに試合に出られるかどうかに重きを置いて進路を選びがちだ。 そのため近年は、優れたタレントをたくさん加入させたチームがその翌年度のリクルートで苦戦することもしばしば。日本一になったことのあるチームのスカウトの一人は、実戦経験が何よりもの宝であるのを認めたうえで言った。 「目標が日本代表なのだとしたら、必ずどこかのタイミングで競争にさらされるんですけどね……」