マスターズで目覚めるか? タイガーの全盛期のインパクトを3D解析。昔の超効率のいい感覚を今に伝えることは難しい?【目澤秀憲・スウィング3.0 #16】
松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は、「計測データをどうやってゴルファー自身にフィードバックするか」について考えた。
「感覚」で理解しないと思うように体は動かない
D スウィングを3D解析したり、足裏の圧力分布(変化)を計測したりすることで、スウィングの問題点が明らかになったとしても、それをすぐに修正できるかどうかは、また別の問題という気がします。とくにアマチュアの場合は、「わかっていてもできない」ということが多いですよね。 目澤 やっぱりそこが一番難しいところで、計測データをどうやってゴルファー自身にフィードバックするかということについては、世界中のコーチが方法を模索中です。 D 全米ナンバー1コーチに選ばれた、マーク・ブラックバーン氏は、たとえば、"feed the fault”(欠点を誇張する)という方法が有効だと言っていますね。TPIのインスタグラムで、その考え方に基づいたスウィング修正のやり方を公開しています。 目澤 (チャーリー・)ホフマンのスウィングを修正する動画ですね。いわゆる、「筋神経系反応」を使ったトレーニングです。たとえば、テークバックであえてスウェイする方向に腰を押してあげると、(それにあらがう感覚が自然に身について)スウェイしなくなるんですね。このやり方は、ボク自身もよく使っています。 D それだけ効果が高いということでしょうか。動画では、ダウンスウィングの最中に左ふくらはぎを後ろ(背面)から押す、というのもありましたが……。 目澤 それは、足の前後方向に地面反力を使う感覚を強化するトレーニングですね。 D 前後方向というと? 目澤 切り返しで左足を踏み込むときに、単純に真下方向ではなく、少しつま先方向に圧力をかける必要があるんです。そうすると、地面から跳ね返る力の方向が「斜め後ろ」(左尻の方向)になるので、それで左腰が回転して、手の通り道がクリアになるんですね。お手本としては、全盛期のタイガー(・ウッズ)が一番わかりやすいと思うのですが、インパクトで左ひざが伸びるときに左足が垂直ではなく後ろに傾き、斜めになっているじゃないですか。それってつまり、反力の方向が斜め後ろになっているということなんです。 D タイガー自身が意図的につま先方向にも踏み込んでいる結果として、半自動的に起こる現象だということですね。 目澤 そうです。でも、この前後方向の力(anterior/posterior force)というのは、感覚として少し意識しづらいのが難点です。 D だから後ろからふくらはぎを押して、感覚を「増幅」してやると、はっきり感じられるようになるというわけですね。 目澤 一度、感覚が「目覚める」と、次からは自分自身で意識して動かしやすくなりますからね。 ※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月16日号「みんなのスウィング3.0Vol16」より
週刊ゴルフダイジェスト
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