春闘第2回集計、平均賃上げ率5%維持、追加利上げの判断材料に
(ブルームバーグ): 大企業中心に満額回答が相次ぐ中、2024年春闘の賃上げ率は第1回に続き、第2回集計結果でも5%を超え、33年ぶりの高水準を維持した。17年ぶりの利上げに踏み切った日本銀行にとって追加利上げの判断材料ともなり得る賃金動向を巡っては、中小企業への波及に注目が集まる。
連合が22日発表した春闘の第2回回答集計は、平均賃上げ率5.25%と、最終集計との比較では1991年(5.66%)以来の高水準となった。このうち中小企業は4.50%で、92年(5.10%)以来の高い水準。第1回集計はそれぞれ5.28%、4.42%だった。
毎月の基本給を引き上げるベースアップは全体で3.64%、中小企業では3.15%。前回集計は3.70%、2.98%だった。
日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決定。日銀の植田和男総裁は、33年ぶりの高水準となった連合の第1回集計を「判断の大きな材料にさせていただいた」と説明した。追加利上げに向けた判断材料として、物価見通しの上振れリスクを挙げ、中小企業の賃上げやサービス価格への波及が、「物価の上昇の程度を決める最大の要因の一つ」と強調。引き続き春闘動向に注目が集まる。
連合の芳野友子会長は記者会見で、「中小小規模事業所の交渉は3月末もしくは4月いっぱいくらいまでかかっていく。この水準を維持していければと期待を持っている」と見解を示した。その上で、「とりわけ中小においては人手不足感が非常に強くなっており、結果に結びついているのではないか」と述べた。日銀の政策修正に伴う労使交渉や労働者への影響についてはコメントを控えた。
連合は賃上げ目標を昨年の「5%程度」から「5%以上」に引き上げて今春闘に臨んでおり、2回集計までは目標到達ラインを推移している。
連合を構成する47の産業別労組のうち最大のUAゼンセンは22日時点の妥結状況を公表した。規模別の春闘賃上げ率は、従業員300人未満の中小企業で6.05%と、300人以上の5.86%を上回り、規模間格差拡大を是正する動きが広がった。パートタイムの賃上げ率は6.41%と、9年連続で正社員の5.87%を上回り、雇用形態間格差の是正も一段と進んだ。