「5000万の遺産、オレにもよこせ」…父の死後、「隠し子」から送られてきた「衝撃の手紙」
「隠し子」というのはドラマや小説の中だけの話だろうと思うかもしれないが、実際にはそんなことはない。筆者は2008年以来、本拠地である埼玉県の北西部を中心として東京都や関東全域から相続・遺言関連で年間100件を超える案件を受けているが、隠し子が絡む相続トラブルにたびたび直面している。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容 現に、厚生労働省の人口統計調査によれば、1980年代は0.8%だった非嫡出子の割合は右肩上がりで上昇し、2022年は2.3%となった。約40年間で実に3倍近くに増えたわけである。さらに日本は今、3組に1組が離婚するといわれる時代となり、「自分が知らない兄弟姉妹がどこかに存在する」という可能性は高まるばかり。隠し子の存在は、あなたにとっても決して他人事ではないかもしれない。 相続の場面においては、隠し子の存在がその行方を大きく左右することになる。前編記事『父の死後、突然「隠し子」がやってきた…26歳男性が直面した「相続トラブル」の衝撃内容』に引き続き、ある田舎エリアの相続で隠し子が登場し、円満に終わるはずの相続がもめにもめた悲劇を紹介する。
家族も知らなかった婚姻歴
話を聞いた司法書士が達夫さんの戸籍を調査したところ、驚くべき事実がわかった。達夫さんは由貴さんの前に結婚していた時期があり、由貴さんは2人目の妻だったのだ。前妻の潤子さん(60歳)との間には、隆さん(38歳)という子どもが1人いる。松井家を訪れたのは隆さんだった。 「母も私も、父に結婚歴があるなんてまったく知りませんでした。婚姻日や出生日から考えると、どうやら父は大学在学中に潤子さんと入籍し、卒業直後に隆さんが生まれたようです。知らされていなかった母はすごくショックを受けていましたね……」 その後しばらくして、隆さんが再び松井家を訪ねてきたそうだ。平日の日中だから、和樹さんは仕事で不在である。今度は「線香をあげたい」のほか、「遺産の相続について話がしたい」と言ってきたという。 「母さんは、『相続は、夫の遺言がありましたから、すべて終わっています』ときっぱり伝えましたが、あちらは『自分にも遺産を相続する権利がある』と引かないんだそうです。僕がいれば強く言い返されると考えたから、仕事で家にいない隙を狙ってきたんですかね……。 なんで父がわざわざ遺言書をつくったのか、ちょっと気になっていたんですが、もしかしたら父は、前妻やその子どもが財産をよこせと言ってくるのを恐れていたのではないでしょうか」