「ヘッドの最下点」で考えるアイアンとドライバーの違いとは?【ゴルフメカニクス研究所 #9】
ゴルフに関する様々な理論に精通するインストラクター・大庭可南太が、アイアンとドライバーのショットの違いを、クラブヘッドの「最下点」から考える。
こんにちは。ゴルフインストラクターの大庭可南太です。さて今年は暖冬ということもあり、冬の時期でもラウンドをされた方も多かったと思います。また、天気予報を見ると、もう寒さのピークを過ぎたようなので、料金の安い2月中のラウンドを計画されている方もいるのではないでしょうか。 とはいえ冬場はどうしても芝の元気がなく、土が露出しそうな薄いライになっていることも多いので、「上から」「クリーン」にヒットしたいと考えることもあるでしょう。今回はその際に重要になる、「クラブヘッドの最下点」について考えてみたいと思います。
プロのクラブヘッドの最下点は「ボールの10cm先」
まずはスコッティ・シェフラーのアイアンショットのインパクトを見ていただきましょう。 写真を見ると、やや右足よりにあったボールを打っているにもかかわらず、そのはるか前方のターフを削っていることがわかります。ミドルアイアン以下のクラブでは一般にツアープロは、ボールの前方3~5インチにクラブヘッドの最下点が来るとされていて、平均では4インチ(10cm)程度になるようです。 かたやアマチュアは「ダフる」、つまりボールの手前の地面にヘッドが落ちてしまうミスが起きるわけですから、ヘッドの最下点でいえば、もしかするとプロとは20cmくらい違っているかもしれません。 この最下点とハンディキャップには密接な関係があり、ローハンディになるほど最下点が前方になることがわかっています。
最下点は左肩の下
なぜハイハンディのゴルファーほど最下点が手前になってしまうのかは、前回のコラムで紹介したダウンスウィング時の「右手首の背屈」が速い段階で解けてしまうことが大きな原因ですが、そうしたエラーの発生を抑えることができればクラブヘッドの最下点も安定してくることになり、人体の構造上、最下点は左肩の真下になります。 写真B左の通り、地面から打つショットの場合は最下点よりもボールを右足よりに置けば、ヘッドは下降軌道でインパクトを迎え、その後地面に向かいます。いわゆるダウンブローになり、ダフることも(理論上)なくなるはずです。 この状態を上から見ると想定すると、最下点までクラブヘッドは(外側に振っていかれる)インアウトの軌道になり、最下点以降は(内側に振っていかれる)アウトイン軌道になっていることになります。 つまりアイアンショットをはじめとする地面にあるボールを打つ場合は、セオリー通りに、左足よりやや内側(正確には左肩の真下よりやや右足より)にボールを置くようにスタンスを取れば、クリーンに入ってインアウト軌道のドローボールが打てる「はず」なのです。 ではドライバーの場合はどうでしょうか。