子どもに「宿題をChatGPTでやる」と言われたら? 親が知っておくべきAIの基本
AIによって、人間の創造性がより発揮される
では、人間にしかできないこととは、なんでしょうか。 まず、新しい夢や目標を描いて、実現していくことです。 街には、車や電車など、さまざまな乗り物が走っています。もし東京から京都へ行くとすれば、新幹線に乗るでしょう。約2時間で到着します。 でも、昔は、新幹線はありませんでした。江戸時代の人の交通手段は徒歩です。東京から京都まで約500km。歩くと2週間ほどかかります。「もっと早く行きたい」という思いを実現して、現在に至っているのです。 また、多くの人がスマートフォンを持っています。みなさんも、友達とメッセージのやりとりをしているかもしれませんね。 昔は、それぞれの家に電話線が引かれ、それにつながれた固定電話があるだけでした。「外にいても電話をしたい」という夢から、携帯電話が開発されました。さらに「インターネットも使いたい」という思いがスマートフォンを生んだわけです。 このように、人間は新しい夢や目標を描き、それを実現してきました。そして、より快適な生活、より過ごしやすい社会を作ってきています。 新しい夢や目標を描くこと、その夢や目標を新しいアイデアで実現すること、これが「人間の創造性」です。 AIは、人間が創造性を発揮するのに必要な「時間」や「エネルギー」も生み出してくれます。 もちろん、人間の創造性そのものを刺激する役割も果たしてくれます。AIによって、人間の創造性がより発揮される社会。これが、AIとの未来のあり方です。
生成AIの使用で注意したいこと
AIはとても素晴らしい能力を持っています。でも、結局のところ、それを使うのは人間です。人間が操縦士なのです。 ですから、人間の知識や考え方、意思決定こそが、最後は大切になります。 単に何かを調べさせたり、単に何かを作らせてそれをそのまま使ったりするのではなく、私たちの思考をより深める道具として使いこなしたいものです。 生成AIは、自分のアイデアに対して、ちょっと違った視点や、ちょっと発展させた内容などを加えてくれます。 次のような使い方ができるといいなと思います。 ---------------------- 1.生成AIに何か答えさせたときには、その回答をうのみにしないで、正確かどうかを調べたり考えたりしてみる。 2.生成AIを使うことが誰かの迷惑になったり、ルール違反になったりしないか、立ち止まって考えてみる。 3.外国語の練習やディベートなど「会話スキル」の技能練習に使う。 4.自分のアイデアと、生成AIが出した内容を比べてみる。 5. 人間の話し合いに「ちょっと違った視点」を付け加えてもらう。 6. 解決しにくい問題について、考えたり分析したりするための視点を出させる。 ---------------------- 学校や家庭で、子どもたちの使用を単に禁止するだけでは何も生まれません。 「自分で考えること」を前提として、「どんな場面でどのように使っていくとよいのか」をみんなで考えていくことが大切です。
TOSS AI活⽤教育研究会 (編集), ⾕和樹 (監修)