「これから上がる」と含み損の銘柄を抱え込んでいては「負け投資家」一直線…元証券マンが教える「勝ち組ポートフォリオ」の作り方
優秀な人材をクビにして、ダメ人材を抱え込んでいないか
あなたがとある企業の営業所の所長だと想像してください。部下にはたくさん売り上げてくれる超優秀な営業パーソンもいれば、いっこうに成績が伸びないダメ人材もいます。 持ち株の中で利益が乗っている銘柄を早々に利益確定するということは、稼ぎ頭の営業パーソンをさっさとクビにしているのと同じことです。そして損切りを遅らせるのは、成績の悪い営業パーソンをいつまでも大切に抱えていることになります。 こうした行動を続けていると、新しい人材を採用しても同じようにスター候補を早めにクビにして、売上が取れない人材を長く抱え込んで教育を続けることになるので、その営業所はいずれダメ人材で埋め尽くされることになります。 こんな運営を続けていれば、あなたの営業所の成績は悪化の一途をたどるのは当然です。自分のポートフォリオが同じような状態になっていないか、振り返ってみてください。
どうしても損切りしたくないときは?
損切りの重要性はわかっているけれど、それでもできない、という人もいます。勝てる投資家になるためには損切りは不可欠ではありますが、損切りできない人が100%負けているかといえば、必ずしもそうとは言い切れません。 証券営業時代のお客様の中に、損切りはしないけれど利食いもしないという完全放置スタイルの投資家が何人かいました。実はそういう人の成績は、トータルではプラスなのです。 こうした投資家は、まず買う根拠が明確でした。この銘柄だったら永遠に持っていられるというぐらいほれ込んで、買っているのです。それでも買うタイミングが悪いと含み損になることはあるのですが、それ以上に利益が出ている銘柄の含み益の額も大きく膨らんでいました。 買う根拠が明確で、なおかつ利益確定を急がずに大きく利を伸ばしていることが、「損切りをしない」というマイナスを補っているのです。 これは積み立て投資の考え方と相通じるものがあります。近年、「老後2,000万円問題」などで注目を集めているiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの積み立て投資は、たとえ含み損になっても決して中断することなく継続することが重要だといわれています。 定額を買い続ける積み立て投資は、相場が下がったときに多く買うことができるので、含み損が出ているようなときこそ継続することで、相場が回復したときの利益を大きくすることができます。 個別株のように資産を10倍にできるような夢のある投資ではありませんが、長く続ければそれなりの利益は期待できるので、損切りできない人はこれに近い考え方で投資を継続すれば、報われると思います。 どうしても損切りができないという人ほど、慎重に根拠ある投資をして、利益をしっかり育てる姿勢を大切にしてください。