〝特殊なマーケット〟描きたかった 世界経済に激震、新型コロナとウクライナの戦争が与えた影響 マネーゲームで悪を討つ!黒木亮さん新刊
新型コロナ禍は世界の経済を激震させた。ところが、乱高下する株価も「カラ売り屋」にとっては、ウデの見せどころ。揺れ動くマーケットの中で暴利をむさぼる企業をあぶり出し、マネーゲームで〝悪〟を討つ。黒木亮さんによる人気シリーズの新刊! ――人気の「カラ売り屋」シリーズ。どのあたりが読者の支持を得ているのでしょう 「(僕が書く)『カラ売り屋』は、企業の不正を正義の観点から暴いてゆくのだけど、その視点は『世間』とはちょっと違っている。いわば〝スネ者〟ですね。そんなスネ者たちが(研ぎ澄まされた財務分析と緻密な告発レポートによって)自分たちの意見の正しさを証明してゆく…そんな痛快さがウケているんじゃないでしょうか」 ――「カラ売り屋」はマネーゲームによって最後には何十億円もの利益を得る。それでも〝正義の味方〟ですか 「『カラ売り屋』は日本にはほとんどいない独特の存在。(本書のカラ売り屋は)単におカネ儲けをするのではなく『使命』を持っている。真実を暴く『ジャーナリスト的側面』がある人たちとして描いたつもりです。その意味で(当シリーズは)経済推理小説みたいなところもあるのかな」 ――すると、タイトルの(マネー)モンスターはカラ売り屋のことを指しているのではない 「違いますね。(本書の『カラ売り屋』は)モンスターと呼べるほど資金力は大きくない。むしろ『地に足をつけた分析者』のイメージで描いています」 ――何十億、何百億円も儲ける『カラ売り屋』が「小さい」って 「世界のヘッジファンドなどを見れば、何兆円もの規模の資産を持ち、莫大な投資をしています。それに比べれば『カラ売り屋』の投資額は小さい。彼らを独特の存在だと言ったのは、損失が無限大になってしまうので、大きな規模になり得ないからですよ」 ――シリーズの単行本としては4作目になる。新刊のコンセプトは 「他の作品にも『カラ売り屋』は登場させているので実際には7作目くらいになるかな。今作のコンセプトは『新型コロナ禍の時期にカラ売り屋はどう動いたか?』ですね。コロナウイルスが世界中に蔓延(まんえん)して最初は経済が減速するとの予測から株価がドーンと下がった。ところが、その後の〝巣籠り需要〟と日米に代表される〝バラまき金融政策〟によって今度は株価がドンドン上がった。そこにウクライナの戦争がからんで株価は乱高下します。新型コロナ禍とウクライナの戦争がどんな影響を与えたのか。〝特殊なマーケット〟を舞台にして描いてみたいと考えたのです」 ――株価が乱高下するマーケットは「カラ売り屋」にとってもウデの見せどころなんですね