「コスパ・タイパ」と失敗を恐れる子が増えた理由は?親は子どもを勝手に枠に閉じ込めたり、先回りしたりしないで
信頼関係を築く力は大人になるほど大事
田内:子どもたちには、私たちの希望を託しています。彼らには、私よりよほど可能性があるからです。私も「この社会をどうにかしたい」と考えていますが、大人が考えるよりもいい答えを持っているはずです。 この数十年で、年功序列・終身雇用が崩れ始め、働き方は大きく変わりました。リーマンショックで多くの社員が解雇され、「いい会社に入れば一生安泰」という時代が終わったのです。最近は国にも体力がなく、年金でさえ守れません。上の人が考えて守ってくれるという、ローリスクハイリターンの世の中はすでに幻想です。会社は社会のためになってこそ儲けがでますから、一人ひとりが社会のためになることを考える必要があります。逆に言えば、そうしたことを考えられる人が重宝され、チャンスをつかめる時代だと思うのです。 髙宮:外資系企業は、「すごいと思ったら採用、ダメだったら辞めさせる」と、人を雇用するのも解雇するもハードルが低い印象です。しかし日系企業は「迷ったら採るな」が鉄則で、逆に一度採用した人を辞めさせるのはとても難しい。ポテンシャルがあったかもしれない人を逃す一方で、社内にパフォーマンスが悪い人がいても雇い続けるしかありません。当然、優秀な人は「なぜあの人が自分と同じ給料なのだろう」と不満を抱いて去ってしまいます。 田内:かといって、企業がむやみに人を解雇しやすくなるのもよくないですよね。それなら同時に、解雇された人たちのセーフティネットを張らなければなりません。 髙宮:はい。私も日本企業が外資系企業のようになればいいとは思いません。ただ、日本は減点主義で採用しますよね。いわゆる学歴がなくても見込んで採用した場合、後々問題があった際に「なぜこの学歴で採用したんだ」と思われてしまうのです。 最近つくづく、「人を信頼すること」「人に信頼されること」の大切さを感じます。数十年ぶりに再会した友人でも、「こいつは昔から頑張っていたよな」という記憶があると、すぐに打ち解けて信頼できるのです。大人になってからも、お互いにリスペクトできる関係を築くことは非常に大切です。そのためにも子どものうちから、誰かと信頼し合う経験は大切だと思います。子どもたちには、頑張って成長すること、そしてその時間を誰かと共有して過ごすことをしてほしいです。 田内:仕事上で必要なものといえば、お金やITスキル、コミュニケーション力などさまざまありますが、髙宮さんが言う通りその1つに「信頼」もあって、信頼がある人は多少抜けているところがあっても、周りが助けてくれるんですよね。それに、やりたいことができたときに周りを巻き込む力も大きいです。社会でお金を稼ぐ能力も大切ですが、信頼をベースにチームづくりができる能力も強いと思いますね。 髙宮:あとは英語や外国語も大事。言語があれば世界が広がるし、日本に限らず外国の人たちとも信頼し合えたら、こんなにいいことはないと思いますね。