親が亡くなりました。車や家電をもらうと相続税はかかりますか?
Aさんは、先日お母さまを亡くしました。お父さまはすでに亡くなられており、お母さまはひとり暮らしをしていました。相続人は、Aさんと弟のBさんの2人です。 Aさんは、遺品整理をするために実家を訪れました。実家には、車や家電、衣類、貴金属など物があふれていました。なかには、買ってからそれほどたってない物もあります。 現預金や株券、貴金属などをもらうと相続税がかかると思っていましたが、親が日常生活で使っていた家電や自動車をもらった場合でも、相続税はかかるのでしょうか。
家財道具にも相続税はかかる
相続税は、相続や遺贈により取得した財産にかかります。財産とは、金額を見積もることができる経済的価値のある物や権利、すべてをいいます。他に、産相続遺贈によって取得したとみなされる財産(非課税枠を超えた部分)や、相続開始前7年(令和6年1月1日より前は3年間)の贈与財産、相続時精算課税による贈与も、相続税がかかる財産に含まれます。 相続財産の合計額から、葬儀費用や債務などの金額を控除した金額が、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告・納税が必要になります。 Aさんの場合、相続財産の合計額が、3000万円+600万円×2=4200万円を超える場合にかかります。超えなければ相続税はかかりません。もらった物が高価だからかかる、安価だからかからないというものではありません。 相続税の申告の際、正しく申告するために『相続税の申告のためのチェックシート』(※)を確認しておきましょう。チェックシートの『相続財産』の区分の中に、「家庭用財産」という項目があります。家庭内の一般動産はここに分類されます。また、自動車や貴金属等については『相続財産』の「その他の財産」に分類されます。
相続税がかからない財産
ただし、なかには相続税がかからない財産もあります。以下のものは、相続税がかからない財産のうちの主なものです。 1. 墓地や墓石、仏壇、神を祀る道具など日常礼拝している物(その場合でも、骨董的価値があり、投資の対象や商品として所有している場合は課税されます) 2. 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人が相続や遺贈によって取得した財産で、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの 3. 条例によって、精神や体に障害のある人またはその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利 4. 相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち、500万円×法定相続人の数までの金額 5. 相続によって取得したとみなされる退職手当金のうち、500万円×法定相続人の数までの金額 6. 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの(相続人の誰かが、引き続き運営することが条件です) 7. 相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を億滴とする事業を行う特定の法人に寄付したもの、あるいは、特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの (出典:国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」)