「河野の一族って、かなりエグイくらいもめてますね」今村翔吾と河野六郎通有にある共通点は、家族との軋轢。『海を破る者』インタビュー
現代の人に読んでもらうために、歴史小説をエンタメ化する
――小説のテーマは、どういうタイミングで生まれたりするものですか? ふとした瞬間ですね。本を読んでる時もあれば、お風呂でぼーっとしてる時もあれば……。 一番多いのは「世相」じゃないけど、ニュースやAC(公益社団法人ACジャパン)のCMを見てる時とか。 そういうメディアから、何を読み取るか。伝えたい表面的な事と、その奥にある事と、それに対する問題と……。それらを並べた時に、今僕たちが社会に抱えている問題が見えてくる。そういう風に考えていくとテーマが生まれて来ます。 ――歴史小説と現代の問題をリンクさせたいというお気持ちが強い? ありますね。 ――歴史作家の中には、歴史が好きだからこそ、その世界観を強く書き出す方も多いかと思います。今村さんは現代との繋がりを大切にしてらっしゃる。そういった意識はいつから? 最初からだと思う。なんでって聞かれると……。過去の作家さんたち全員が同じことしてるとも思わないんですが……。多分、応募原稿からそうなってると思います。 多分……多分だけど。例えば、池波正太郎先生にその意識はなかったのかもしれないけれど、時を超えて、僕は現代に生きるテーマを受け取ったんですよね。先生は僕が5歳の時に亡くなられてるんですが。 歴史小説から自分のテーマとか、生き方を頂いてきたから、僕は現代に送るのが当たり前だと思ってるのかも。僕が受け取り続けてきたから。 だから、現代の人に読んでもらうためにも、エンタメ化はちゃんとしないと。 歴史小説は読んでもらえないって意見も出るんだけど、僕は読ませられてない僕らの責任だと思ってるから、あの手この手で「面白いもんだよ」ってものを作りたいし、クオリティも高くしなければならないなって。 ――現代を舞台にしたエンタメ小説を書いてほしいという依頼が来たら、どうしますか? 書きたいです! ただ……みんな歴史物を望んでるから、優先順位だけの問題かな。 余裕があるんだったら、ずっと言ってるけど、歌舞伎町の話を書きたい。なんかあそこらへんって、僕はあんまり行かへんけど、人生ドラマがありそう。だから飛び込んで書いてみたいなって気がします。ホストと医者とか、ありえへん組み合わせでやりたいですね。 (取材・構成/沢木つま) 経営者・今村翔吾が「シェア型書店」をブームで終わらせないために へ続く
「本の話」編集部