遠くからでも分かる「ピラミッド型」で人気! 「武甲山」あえて駅から歩いてアプローチ「理由とは?」
■秩父の人気山! 奥武蔵最高峰「武甲山」
●横瀬駅から工場地帯を抜けて登山口へ 西武秩父線横瀬駅を出ると、駅前にはタクシーを待つ人の列ができていた。皆一様に登山ウェアに身を包んでいるところを見ると、おそらく武甲山の登山口まで向かうのだろう。 登山口まで約6km、90分の舗装路歩きが待ち構えているのだから、タクシーに頼りたくなる気持ちも分かる。しかし、それでも筆者は舗装路歩きをすすめたい。石灰石採掘が盛んに行われ、標高が変わるほどに削られてきた山。その採掘工場を眺めながら登山口を目指すのは、武甲山ならではの楽しみ方だと感じるからだ。 長い煙突から白い煙が立ち上り、行き交う大型トラックのボディは石灰で白くなっている。これから山の自然の中を歩こうというのに、道中に広がるのはドリルやショベルカーの機械音だ。このギャップを味わってもらいたい。ただし、噴煙やホコリが舞っているので、マスクやサングラスの用意を忘れないようにしよう。また大型車の出入りも頻繁なため、十分注意して工場地帯を進もう。
●鳥居をくぐり、52丁目を目指す 工業集積エリアの舗装路と林道を抜けると、武甲山御嶽神社の一ノ鳥居が現れる。鳥居をくぐり、20台ほどスペースのある駐車場を過ぎたらようやく登山口だ。歩行距離だけ見ると、駅から山頂までの8.5kmのうち6kmを歩いてきたのだから、ゴールは眼の前のように感じるが、登山道はこれからが本番だ。 武甲山は遠くから見るとピラミッドのような特徴的な形をしており、山中も木々が少なく寒々しいかと思いきや、いざ登山道に入ると気持ちのいい樹林帯歩きが楽しめる。その多くはヒノキ林だ。また道中には清流が流れ、水場もある。 しばらく歩いていると、登山道の至るところに「5丁目」「6丁目」と書かれた石の標識があるのに気づくことだろう。これは、山頂を52丁目として、進行具合を知らせてくれるものだ。等間隔ではないのだが、確実に山頂に近づいていることを実感できて、ありがたい存在だ。 木々の中から水温が聞こえてきたら、不動滝が近づいてきた証拠だ。水量は多くはないが、美しい滝を見ることができる。石の標識は18丁目、小休止していこう。 滝の水は山頂トイレ用水として活用されており、荷揚げ用のペットボトルが用意されている。体力に自信のある人は、荷揚げに協力してあげよう。 さらに進み33丁目。道の真ん中にどっしりとそびえる、ひときわ大きな杉の木と出会う。樹齢400~500年とも言われる大杉で、まさに御神木だ。周辺は「大杉の広場」と呼ばれ休憩スポットになっている。 50丁目。とうとう山頂直下の御嶽神社に到着した。木の生い茂る山中に突如現れる立派な神社には驚きである。細身の狛犬を横目に、神社の裏手に進むと武甲山山頂だ。 ●山頂からみる秩父の街並みと周囲の山々 1,304mの頂は、鉄柵がめぐらされた展望台のようで、多くの登山客がその景色に見入っている。眼下には秩父の街並みが広がり、街をぐるりと囲む美しい山々が見渡せる。 間もなく紅葉が見頃を迎え、武甲山にたくさんの登山者が訪れるシーズンだ。山頂からの景色はもちろん、山中の木々の葉が鮮やかな赤や黄色に変わり美しい。 さらにもう一つ、春の芝桜の時期もおすすめだ。秩父エリアが美しく映える春にも足を運んでみてはいかがだろうか。