【F1分析】ほんの僅かしかなかったピアストリ勝利のシナリオ……その”一瞬”の隙を突いた超ファインプレイ
■ペースの上下がルクレールのタイヤを必要以上に傷つけた?
こちらのグラフは、第2スティントのピアストリとルクレールの差の推移を折れ線で示したものである。ルクレールはレース終盤までピアストリの真後ろにつけ、度々攻め立てた。 これを見ると、確かにルクレールの方がペースが優れていたように見える。ピアストリは、一向に引き離すことができなかったのだから。 しかしピアストリには武器があった。低ダウンフォース仕様のセッティングを採用したため、最高速が伸びていたのだ。そのため、比較的多めのダウンフォースをつけていたフェラーリとしては、なかなかピアストリを攻略できなかった。 グラフを見ると、ピアストリとルクレールの差がジグザグになっているのが分かるだろう。つまりルクレールは、ペースを上げ下げしていたわけだ。これは、最初のグラフのレースペース推移のグラフからも読み取ることができる。 これによりルクレールは、自らのタイヤを少しずつ痛めつけていたのだろう。「簡単に抜ける」と思っていたのになかなか抜けない……そういう焦りも、タイヤをマネジメントする集中力を削いだかもしれない。 いずれにしても、ルクレールがタイヤの発動に苦しんでいたほんの僅かな瞬間を突いた、ピアストリのファインプレーだったと言えるだろう。まだ2年目の若手ドライバー……昨年よりも確実に成長している。
田中健一
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