11月14日は世界糖尿病デー 血糖トレンドの把握によるデータ化、可視化が重要
今日11月14日は、1991年(平3)にIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定した「世界糖尿病デー」だ。 IDFよると世界で5億3700万人、成人10人に1人が糖尿病と推定され、日本でも糖尿病予備群を含めた糖尿病者は合計約2000万人と推計されている。 糖尿病は細小血管障害による失明、腎不全や足壊疽(えそ)、そして大血管障害による動脈硬化性疾患の合併症を併発するリスクが高い。東京慈恵会医科大学付属第三病院(東京・狛江市)の藤本啓医師(53、糖尿病・代謝・内分泌内科准教授=写真)に基礎知識や血糖値の変動をトレンド(傾向)として把握する「血糖トレンド」、体に装着した小型センサーで血糖値の変化を持続的に計測する最新の医療を解説してもらった。 糖尿病は血液中のブドウ糖を一定の範囲内に収める働きを担うホルモンで、膵臓(すいぞう)から出るインスリンが十分に機能しないことで血糖値が高くなり、血管にダメージを与え、放置されることで発症する。藤本医師は「糖尿病特有の3大合併症は神経障害、網膜症、腎症。神経障害は最悪、切断にもつながる。日本では失明の原因では緑内障に続く2番目。腎症は血液透析の第1原因に」と警鐘を鳴らす。糖尿病と癌(がん)や認知症発症リスクの関連も報告されている。 最新医療では血糖値の変化を計測する「血糖トレンド」が重要視され、「健康診断では空腹時血糖値で判断しておりますが、本当は食後血糖値のピークを捉え、変化を把握することが大事ですが、なかなか難しい」(藤本医師)。そこで持続血糖測定器(FreeStyleリブレ2、DexcomG6など)であれば、血糖トレンドを10~14日間把握できる。日常生活に支障がない小型センサーで測定、データを蓄積し、スマホで確認できる。 患者の同意を得ることで医師がデータを遠隔で診ることができ、高齢者やお子さんの状態を、ご家族がスマホで共有し、見守ることもできる。持続血糖モニタリングによって「多くの糖尿病患者の血糖変動が改善しております」(藤本医師)という。「血糖トレンド」を把握し、データ化、可視化した上で専門医の診断を受けるのが、これからの糖尿病治療のトレンドとなりそうだ。