“民間企業化"する愛媛県庁「前例のないチャレンジ」成果重視、経営感覚、前例主義の撤廃…試される地方自治
384億円もの財源不足「このままでは…」
今回のプランの背景には、“強烈な危機感”があります。 中村県政が最重要と掲げる人口減少対策は、全国平均よりも早いスピードで進行。 高齢化等に伴う社会保障関係の経費増加や、県有施設の老朽化による修繕費の高騰。 そもそも県の懐事情は苦しく、「この3年間で384億円もの財源不足」と予測されている上に、世界経済の複雑化などのリスクも考えるとさらなる財政圧迫も懸念されています。 これまでの経験の延長や前例主義だけでは愛媛は立ち行かなくなる。そこで、新しい発想や手法を用いて、今ある人的・経済的資源をうまく活用しながら、私たち県民が実感できる「成果」を追い求めていく、という流れです。 “お金がないのに、新しい政策なんて追い求めることができるのか”という声も聞こえてきそうです。 これに対して中村知事は。 「これまで『スクラップ&ビルド』という言葉はよく聞く。それは、スクラップして浮いた財源で何かをやると。ただ、これはどちらかというと消極的前進。これからは『ビルド&スクラップ』。逆転の発想でいく。まず、やるべきことをやって、じゃあそれを実施するために何をやめて財源を捻出するか。そういう発想の中で物事を組み立てていく」
私たちはどう生きるか
「“自治体に倒産はない”ということはもう過去のことであり、倒産がありえる時代に入った」 かつて2010年の就任あいさつでこう述べた中村知事。 いわゆる「三位一体の改革」で、財源・権限が地方に移譲されると同時に、“借金”も地方が請け負うことになった。だからこそ、前例踏襲を排除して、経営感覚をもって新たな成果を求めていく。 そうしないと、地方自治は崩壊するー。 その中村県政に通底している意識が「国に依存したメニュー選択型行政から、みずから考え、みずから行動する政策立案型行政への転換」(2012年12月県議会での答弁) 今回、最近の不安定な社会・経済情勢を受けて、愛媛県庁が「急に」民間企業的な感覚になったのではありません。 あくまでもこれまで続けてきた改革の「延長線上」での動きととらえるべきだと考えられます。