「復興元年」日は昇る 能登半島地震1年 各地で祈り「未来築く」 輪島で追悼式
石川県内で498人の犠牲を出した能登半島地震は1日、発生から1年を迎えた。1年前と同じように穏やかな冬の日が差す朝を迎えた能登の各地は、地震発生時刻の午後4時10分ごろには涙雨となり、犠牲者の鎮魂と、安寧の祈りをささげる住民の姿が見られた。輪島市の日本航空学園体育館で県主催の追悼式が営まれ、出席者は「復興元年」の歩みを進めることを誓った。 【写真】地震発生時刻に合わせ、朝市通りに向かって黙とうする朝市組合員=1日午後4時10分、輪島市河井町 追悼式には地震と豪雨の遺族317人と国、市町関係者ら計445人が出席。馳浩知事は式辞で「復旧・復興への道のりは長く険しい。『新たな能登の未来を築く』という強い決意を新たにし、復興への道を切り開いていく」と力を込めた。 石破茂首相は「被災者の気持ちを受け止め、生活となりわいの再建、創造的復興に政府一丸となって取り組む」と強調、防災庁創設などの取り組みを通じて世界一の防災大国にすると決意を示した。地震発生時に政府側の陣頭指揮に当たった岸田文雄前首相もあいさつに立ち、「被災者の方々の思いや苦しみはいかばかりか。私も一人の政治家として、引き続き全身全霊で能登の復旧・復興に努める」と語った。 遺族代表の小林由紀子さん(53)=穴水町川島=は「心が折れそうだった。そんな中、支えてくれたのは地域の方々の温かい言葉だ。少しずつ前向きな気持ちになることができた」と涙ながらに語った。 式の途中に午後4時10分を迎え、参列者が黙とうをささげた。引き続き遺族らが会場中央の献花台に花を供えた。 黙とうなどに先立ち、オーケストラ・アンサンブル金沢の献奏が行われ、陸上自衛隊中央音楽隊の鶫(つぐみ)真衣さんが国歌を独唱した。 追悼式は県公式チャンネルで生中継された。 ★能登半島地震 2024年1月1日午後4時10分に輪島市と志賀町で震度7を観測する地震が発生。12月27日現在、県内で直接死228人、災害関連死270人を数える未曽有の災害となった。行方不明者2人、負傷者1254人、住宅被害は10万3911棟に及ぶ。ほかに新潟県で4人、富山県で2人の関連死が認定されている。 ★奥能登豪雨 2024年9月21日、能登地方で線状降水帯が発生し、輪島市で1時間に121.0ミリ、珠洲市で84.5ミリの猛烈な雨を観測した。河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、12月27日現在の死者は16人、負傷者は47人となった。住宅被害は1623棟となっている。