中村勘九郎が明かす息子たちの素顔はテレビとは逆!?「勘太郎のほうが自由な発想を持っている。長三郎は数学的に教えないと理解しない」
希代の名優と称された歌舞伎俳優・十八世中村勘三郎さんが急逝したのは、2012年の12月のこと。十三回忌にあたる2024年は、故人を偲ぶ追善興行が全国で毎月のように行われました。 【写真】中村勘九郎インタビューの写真を見る 勘三郎さんのふたりの息子、中村勘九郎さんと中村七之助さんをはじめとした中村屋ファミリーにとっても、節目の年となりました。 その一年に密着取材を敢行したドキュメンタリー『中村屋ファミリー』から、勘九郎さんのインタビューが到着。その一部を紹介します。
<中村勘九郎 インタビュー>
――2月には、歌舞伎座で、中村勘三郎さんを偲ぶ追善興行「猿若祭二月大歌舞伎」がありました。(勘九郎さんの長男・中村)勘太郎さんは「猿若江戸の初櫓(はつやぐら)」、(勘九郎さんの次男・中村)長三郎さんは「連獅子」に挑みました。 勘太郎のいいところは、芝居が好きだっていうところ。で、芝居をよく見ている。父にも先輩にも、生で芝居を見ることが、どれだけ自分の財産になるかということを言われてきました。 彼は、芝居をよく見ているので、勘はとてもいいですし踊りも好き。ただ、今回は難しかったんでしょうね。初めてですよ、あんな不安そうな彼を見たのは。妻(俳優の前田愛さん)の話を聞いたりすると、不安で泣いていたって。それだけ、難しい役を与えてしまったというかね。でも、それにしっかり応えたと思います。 長三郎は、お兄ちゃんが「連獅子」を踊っている姿を見て、「自分も…」という気持ちが出てきたんじゃないかな。もう、やる気満々でしたね。彼の真面目さが、すごく伝わってきました。 この番組で密着取材してもらっていますが、視聴者のみなさまには、お兄ちゃんの勘太郎のほうが真面目に映ってますよね。長三郎のほうが、ファニーな感じに。 長三郎は、もちろんファニーな男なんですけれども、実はね、逆なんですよ。 勘太郎のほうが、 踊りもそうですけど、どちらかというと自由な発想を持っている。長三郎は、数学的に教えないと理解しない。だから、うちの父が教えやすいのは、勘太郎。うちの祖父・(七世 中村)芝翫が教えやすいのは、長三郎だと思います。 ご存知の通り、うちの父親は「やってよ。違うよ、こうやるんだよ。なんでできないんだ、違う、こうだよ」(笑)。 これで、勘太郎はたぶん理解する。 祖父は「おい、右足こうかけて、 左をもうちょっと内側のほうに深く引いてごらん。 ほら、回れるだろ」。 これを理解するのは、長三郎。 僕も、2人に教わった人間なのでね。 今、僕が教えるときに気づくわけです。 勘太郎に方程式で教えてもなかなか理解できなくて、 感覚で感性で。「そう、そこでもっとマイケル・ジャクソンのように」とか言うと、わかるんです。 長三郎にそれを言うと、「うん?」 となっちゃう。 本当に、おもしろいですよね。 聞き手:花枝祐樹(番組ディレクター)
めざましmedia編集部