宅内配管工事が本格化 輪島、被災地外から業者 増額分は県が負担
能登半島地震の被災者向けに地元以外の水道管業者の活用を促す石川県の制度で、宅内配管の修繕工事が本格化している。復旧時期が見通せなかった被災者からの申し込みは七尾市以北の6市町で約130件に上り、74件で業者が紹介された。29日は輪島市門前町浦上の被災者宅で工事が進められ、住民は「こんなに早く復旧してうれしい」と感謝した。 通常、地元以外の業者に工事を依頼すると、移動や宿泊にかかる出張費が発生して料金が割高となる。新たな制度は、出張費の増額分を県が負担することで、被災者の負担を通常の工事費に抑えながら、地元以外の業者による工事を促進して生活再建を後押しする。 制度が新設された今月8日時点では、宅内配管の工事待ちが珠洲市で1700件、輪島市で500件あった。13日に受付窓口が設置され、既に約130件の申し込みが寄せられた。工事は先週から始まった。 29日に工事が公開された輪島市門前町浦上の前田伸正(しんしょう)さん(71)宅では、小松市の茗荷谷設備工業の作業員2人が住宅に水道水を引き込む管を取り付けた。 同地域では、市が各住宅前まで整備する水道管は3月中に復旧したが、個人で修繕する必要のある宅内配管は一部が破損して漏水していた。前田さんは地元業者に修理を頼んだが、依頼が殺到していたため多くの人が順番を待っており、工事できる時期も示されない状況だったという。 工事後、水が出ることを確認した前田さんは「復旧時期が分からない時は途方に暮れた。普通に水を使えるようになって良かった」と話した。県の担当者は県管工事業協同組合連合会に委託して受付窓口を設置しているとして「安心して修繕を依頼してほしい」と呼び掛けた。受付窓口の連絡先は=0120(055)122=となっている。