フレックスタイム制に「時間外労働」はある? フレックスタイム制の企業で働く注意点とは?
フレックスタイム制は、労働者が柔軟に労働時間を調整できる制度です。フレックスタイム制は通常の働き方とは異なり、残業代をめぐってトラブルになるケースもあるため、フレックスタイム制の概要や考え方を理解することは重要です。そこで本記事では、フレックスタイム制について説明していきます。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
フレックスタイム制でも時間外労働は設けられている
フレックスタイム制でも、時間外労働は設けられています。事業主は労働時間を適切に管理する必要があり、実労働時間を把握したうえで賃金清算を行う必要があります。さらに、有給休暇に関しても法定通り付与しなければなりません。 そもそも、フレックスタイム制とは一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業時刻・終業時刻を自由に決められる制度です。 あらかじめ一定の期間における総労働時間のなかで従業員が労働時間を調整するため、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、直ちに時間外労働とはなりません。 ただし、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えて働いた時間は時間外労働となります。清算期間における法定労働時間の総枠を計算する式は以下のとおりです。 清算期間における法定労働時間の総枠=1週間の法定労働時間(40時間)※×清算期間の暦⽇数÷7⽇ ※特例措置対象事業場については44時間 例えば、1ヶ月を清算期間とした場合、法定労働時間の総枠は図表1のように算出されます。 図表1
出典:厚生労働省 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き 清算期間が3ヶ月の場合は、清算期間全体の労働時間が週平均40時間を超えたとき、1ヶ月の労働時間が週平均50時間を超えたときは法定時間外労働にあたります。つまり、フレックスタイム制でも時間外労働は設けられているため、場合によっては今回の相談者の方は残業代を申請できることになります。 なお、フレックスタイム制では、清算期間における実労働時間があらかじめ決めた清算期間における総労働時間を上回る場合、超過した時間分の賃金清算を行わなくてはなりません。 逆に、清算期間における実労働時間があらかじめ決めた清算期間における総労働時間を下回る場合、不足時間分の賃金が控除されるか、不足時間を繰り越して次の清算期間の総労働時間に合算されます。